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所用時間5min
2014.06.12

固有植物とは

もっとも近い島から 3000km 以上も離れた絶海の孤島に誕生した独自の植物世界

  • ハワイ諸島は絶海の孤島のため、外来生物の侵出に大きなダメージを受ける。
     
  • 固有種にはエンデミックとインディジュナスの2種類がある。
     
  • 関連資料
    『ハワイアン・ガーデン』『フラの花 100』など(平凡社)近藤純夫著


固有植物の定義
固有植物とは「特定の地域に限定して分布する植物」を指します。ハワイ諸島では下記の統計のように、1000 を少し超える程度の固有植物が分布し、その割合は、花を咲かせる植物に限れば 90%に迫ります。つまりほとんどの植物がハワイ諸島か、その近隣にしか分布しないということです。


      在来種総数  固有種率
種子植物   956     88.9%
シダ植物   196     78.1%
苔類・地衣類 52      n/a

脅かされる自然
これに対し、今日のハワイにおいて外来植物は 20,000 種を超えると言われます。このなかには既存の自然環境を破壊する有害植物が多く含まれます。それらは繁殖力が強く、在来の植物を駆逐してしまう力を持ちます。ハワイ州は合衆国の領土の 500 分の1程度しかありませんが、『ナショナル・ジオグラフィック』誌によれば、アメリカの全動植物のうち、絶滅の危機に瀕しているもののおよそ半数がハワイ州にあるとされます。深刻な事態の背景には、このような外来種の洪水があります。 ハワイの自然はなぜこれほどまでに外来種の侵出に弱いのか? それは絶海の孤島という成り立ちのせいで、周囲の島々や大陸の影響をほとんど受けて来なかったためです。きわめて安定した自然(植物相や動物相)を築き上げた結果、変化に対する抵抗力がとても弱くなったのです。ハワイ本来の自然環境を保全するため、いまも多くの努力が続けられていますが、固有植物を中心とした原生の自然は、少しずつ姿を消しています。

2つの固有種
固有植物には、「その土地にのみ分布し、他のいかなる場所にも見当たらない植物」と、それより少し範囲を広め、「その土地の他に、限定されたごく一部の地域だけで見られる植物」という2つの種類があります。いずれも一般的な表現ではネイティブ(在来の、自生の)と表現されますが、植物学的には、前者をエンデミック、後者をインディジュナスと呼びます。

たとえば海辺に分布するビーチ・ナウパカ(ナウパカ・カハカイ)は、ハワイ諸島の他、ごく限られた他の地域でも見られる植物なので、インディジュナスに分類されます。 しかし、このビーチ・ナウパカから突然変異を続けて誕生したマウンテン・ナウパカ(ナウパカ・クアヒヴィ)はハワイ諸島にしか存在しないため、エンデミックに分類されます。

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

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