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所用時間5min
2021.11.24

フラの原型

ハワイの伝統社会において、自分たちの領土が安全で強く豊かであることはきわめて重要でした。そのため、ハワイ諸島のアリイたちはコア(戦士)の育成に余念がありませんでした。アリイたちは優秀なコアを得るためにルア(戦い)を学ぶ施設を設けました。この施設はパー・ルアと呼ばれました。



パーとは「敷地」「庭」「広場」という意味で、「パー・ルア」とは「ルアの場所」から転じ「ルアの修練所」という意味となりました。パー・ルアでは、ボクシングに似た武術、槍の使い方、レスリングなどを学びました。また、戦いにおける戦術についても学びました。

パー・ルアでルアの技術を教えるのはオーロヘ・ルアと呼ばれるルアの指導者です。教わる弟子たちはハウマーナと呼ばれ、数年に渡って修行を積みました。ルアにはさまざまな流派があり、同じルーツを持った流派であっても、大きくその内容が異なることがありました。

ちなみに、オーロへとは「裸の」という意味です。戦いを学ぶ戦士たちは髪を切り、ヒゲを抜き、さらに全身に油を塗りました。相手に組み伏せられにくくするためです。このことからオーロへは本来の「裸の」という意味から「熟練した」という意味を表すようになったのです。

パー・ルアは下図のように、一般的には入口が一つだけの、長方形の建物と敷地で構成されます。内部は役割に応じて3つのエリアに分かれました。1つ目と2つ目は、パーの前面と背面にある2つの敷地で、ここでは弟子たちがルアの技術や知識を学びます。3つ目はカプのエリアです。建物内部の中央付近には、オーロヘ・ルアと神のためのカプ(神聖な場所)がありました。ちなみに「カプ」という言葉には、「規則」「禁忌(認められた者以外は入ってはならない神聖な場所)」「禁止」などの意味があります。オーロヘ・ルアはここに立って弟子たちの修行を指導しました。

パー・ルアに神の場所が設けられるのは、武術を学ぶ者たちにマナ(霊的な力)が与えられると信じられたためです。ルアの知識や技術がない者は、マナが不足していると考えられました。パー・ルアのカプに設けられる神とは、戦闘の技術向上を見守るクイ・ア・ルアとロノ・マカ・イヘです。これらの神々に接することができるのはオーロへ・ルアのみとされました。


中央付近に設けられたカプには、クアフ(祭壇)が設けられました。このクアフという言葉を分解すると「クー+アフ」となります。クーは戦いの神としてハワイではもっとも重要な存在でした。アフは「盛り土」、「塚」という意味です。つまり「クー神を称える塚」が「祭壇」という意味になりました。クアフは常設されるわけではなく、修行者たちがウーニキ(修了の儀式)を受けてパー・ルアを卒業する日が近づくと建立されました。




クアフの準備とそこに置かれた植物は、ルアの修行者にとって非常に重要な意味を持ちます。弟子たちは、どの植物を集め、どの植物を避けるべきかを学びました。これらの植物を集める際には、オリが唱えられました。今日、その内容は忘れられてしまいましたが、ルアの儀式を行う際に用いられるものと同じ目的だったと言われます。集められる植物は、フラの祭壇に用いられるものとよく似ています。

クアフの準備とそこに置かれた植物は、ルアの修行者にとって非常に重要な意味を持ちます。弟子たちは、どの植物を集め、どの植物を避けるべきかを学びました。これらの植物を集める際には、オリが唱えられました。今日、その内容は忘れられてしまいましたが、ルアの儀式を行う際に用いられるものと同じ目的だったと言われます。集められる植物は、フラの祭壇に用いられるものとよく似ています。

やがて、オーロへ・ルアのなかにはルア(戦い)を様式美として指導する者が現れました。戦いの勝利を象徴する格式高い舞いは、これを見る者たちを鼓舞する目的がありました。武闘から舞踏へと広がったのです。


この舞踏こそフラの原点だという説があります。フラを学ぶ場(ハーラウ)にはクアフを設けること、そこに置かれる植物に共通性があること、パー・ルアを卒業する際に振る舞われるアイロロは、ウニキを終えたハウマナのために今日のフラでも設けられること、フラに用いられるウーリリという楽器はコア(戦士)が手にするパールル(楯)に、カーラ・アウという楽器はイヘ(槍)に良く似ることなど、フラの様式や道具にはルアと数多くの共通点を見出すことができます。





 
  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

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