講座詳細
ホオポノポノ
ホオポノポノはハワイ古来の集団セラピー
- ホオポノポノはハワイ語で「物事を正す」との意味がある
- 神の面前で懺悔しお互いを許しあうことが問題解決につながる。それがホオポノポノの概念だ
ハワイ式集団セラピー
ホオポノポノは、古来ハワイアンが家族間の問題を探り、調和を取り戻すために使ってきた精神的な手法です。ホオポノポノの核になるハワイ語、ポノは、「正しい、調和、よい、成功、真の状態、道義」などを意味します。ホオポノポノ自体は「物事を正す、調和させる」という意味合いになります。
今では職場、コミュニティの問題にも行われることがありますが、ホオポノポノは元来、家庭内の問題解決のための手段でした。なぜ家族間に不和があるのか。家族が病気になっている原因は何なのか。それらを探るため、昔は医療を専門とするカフナ(家庭医の役割を果たしていました)や、一家の長老がホオポノポノの進行役となり、まず神や先祖に祈りを捧げることから全てが始まりました。
つまり過去の罪の懺悔や互いへの怒り、嫉みの告白などその話し合いは神に向かって行うのであり、参加者には完全な誠実さ、正直さが求められました。同時に相手に対する許しも、真摯な気持ちから出るものでなければなりませんでした。
ネガティブな感情の発露が続けば、進行役は神への祈りや沈黙の時間を設け、場が感情的になるのをコントロールしました。家族間の軋轢や、それぞれ抱える罪悪感など個人の感情を全て「ポノ」な状態に戻す。それが問題解決につながるというのが、ホオポノポノの考えです。
ハワイアン・ヒーリングの核を成すもの
ハワイにおけるホオポノポノの位置付けは、紛争解決の手法というだけにとどまりません。その概念は今も昔も、ハワイアン・ヒーリングの核を成すものと考えられています。その理由として、昔のハワイでは、病気は過去の行いに対する神罰である―と強く信じられていたことが1つ(詳細は「古代ハワイのヒーリング」を参照ください)。
さらには、「病いは気から」の例えどおり、古来ハワイでは怒り、罪悪感などネガティブな感情が病気を作る―との信条が強かったことが挙げられるでしょう。癒しの世界でもホオポノポノの概念は重要だったのと同時に、逆に病気の原因を探り解決するためにも、ホオポノポノは行われてきました。
ハワイ文化の権威、故メリー・カヴェナ・プクイ女史は、著書の1つの中で伝統的ホオポノポノを模擬的に再現していますが、そのホオポノポノの主題は、家族の一員の目の病いでした。なぜ家族が視力を失いかけているのか。そして状況がさらに悪化するのを防ぐため霊的な原因を解決するために話し合いがもたれ、ともに神に許しを求め祈ることで、ホオポノポノは終わっています。
現代ハワイでもホオポノポノは行われており、オアフ島のワイアナエコースト・コンプリヘンシブ・ヘルスセンター、ワイキキ・ヘルスセンターのように、サービス・メニューの1つとしてホオポノポノを提供している団体があります。
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森出 じゅんJun Moride担当講師
【インタビュー動画あり】
オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセントも務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景」(パイインターナショナル)がある。
森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex