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所用時間5min
2014.04.16

クアロア

地域全体が神聖視されたオアフ島要めの地

  • オアフ島随一の聖地。王族の埋葬された洞窟が今も数多く残る。
     
  • 王族の子供の教育地でもあった。
     
  • クアロア全域が「駆け込み寺」のような避難地(プウホヌア)だった。
     
  • ホノルルからリケリケ・ハイウェイ、カメハメハ・ハイウェイ経由で約50分。カネオヘ湾とコオラウ山脈に挟まれて広がる

ホノルルから車で約50分。オアフ島北東部に位置し、カネオヘ湾に臨むクアロアの地は古来、島随一の聖地とみなされ、王族も暮らす重要な地域でした。一帯から犬の歯のネックレスや石器など膨大な数の遺物が出土しており、クアロア・ビーチパークから見つかったものだけでも、優に1万6000点以上。そのため1974年には、クアロアのアフプアア(古代の地域のくくり。生活共同体でもありました)全体が、米国の史跡として認定されています。


クアロアには農業と平和の神ロノのヘイアウ(神殿)をはじめ、大きなヘイアウが少なくとも4つはあったことも、確認されています。さらに考古学者たちは、一帯のコオラウ山脈には古代の王族の眠る未発見の洞窟がいくつもあると推定。実際、クアロア・ビーチパークの背後の山の洞窟からは、遺骨とともに丸ごとのカヌーなどの副葬品が見つかったこともありました。

クアロアの山々は王族の埋葬場だった

クアロアは昔、プウホヌアとしても機能していました。昔のハワイにはプウホヌアと呼ばれる避難地が各地にあり、お年寄りや子供・女性など戦時中の非戦闘員や敗残兵、罪人達が安全を求めて逃げこむ、駆け込み寺のような場所となっていました。しかもクアロアの場合は特定の地域だけがプウホヌアだったわけではなく、そのアプフアア全体が、聖なる避難地だったことが知られています。


クアロアはまた、王族居住地でした。オアフ島の王族の子供達は幼少時からここに集められ、武術や帝王学を授けられたとか。一帯が神話・伝説の舞台でもあり、半神半人カマプアアにちなんだ神話や神話上の小人族メネフネにちなんだ伝説が、たくさん残っています。たとえばクアロア・ビーチパークの沖に浮かぶ小島、モコリイ島(通称チャイナマンズハット)は、女神ヒイアカに退治された大とかげモオの尻尾だそうです。


このように、さまざまな理由から神聖視されてきたクアロア。あまりの神聖さに、クアロア沖を通るカヌーはその昔、必ず帆を降ろして敬意を示したものでした。それは漁師のカヌーだろうと他島の王族のカヌーだろうと、同様に厳しく守られ実行された慣習だったよう。一説によると若き日のカメハメハ大王でさえ例外ではなく、帆を降ろしてクアロア沖を通ったそうです。

モコリイ島とクアロア・ビーチパーク

ところが18世紀のこと。オアフ島の若き酋長カハハナが、伯父であるマウイ島の大酋長カへキリから、クアロアを譲渡するよう要求されました。親しい関係にあった伯父の言葉にカハハナは従いかけましたが、18世紀のハワイアン歴史家カママルによると、高位にあった神官(カフナ)のカオプルプルは激高して反対しました。


「クアロアを失えばあなたは権威を失い、もはやオアフの支配者とは言えない。クアロアを渡すのは、オアフ島全体をマウイ島の酋長に差し出すのと同じこと。ほかの要求は何でも聞き入れてよかろうが、クアロアだけはダメです!」


クアロアの重要性を如実に示す史話と言えるのではないでしょうか。


ですが時の流れとともに、クアロアの重要性は忘れ去られてしまったよう。1850年、時の君主、カメハメハ3世は、自身の医師だったゲリット・ジャッドに、クアロアの622エーカーの土地を$1300で売却します。ジャッド医師の子孫によりその土地は今、周辺の土地と合わせて拡大され、クアロア牧場として、牧場その他の多角的なビジネスを営んでいます。


以上のように、クアロアには宮殿や教会のような建築物としての史跡は残りませんが、歴史的に第一級の価値を持つのがこの地域。風光明媚なビーチパークを中心にクアロアを訪れ、太古の昔に想いを馳せるのも一興でしょう。

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)がある。
    森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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