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2015.06.08

アウマクアの神話・伝説

虹のプリンセスの神話でもアウマクアが活躍

  • 動物の姿で、また人間の姿で、子孫を救うアウマクアは、数々の神話に登場する。

虹のプリンセスの神話にはフクロウのアウマクアが登場

「マノアの虹のプリンセス」
ワイキキの背後に広がるマノア。マノアを舞台にした虹のプリンセス、カハラオプナの物語は、ハワイアンソングにも詠われている有名な神話ですが、この神話では、実はカハラオプナのアウマクア(家族神、先祖神)が、大変大きな役割を担っています。
 

カハラオプナはマノアを吹く風を父に、マノアに降る雨を母として生まれた、それは美しいプリンセスでした。
 

ワイキキの酋長カウヒと婚約していたカハラオプナですが、ある2人の男性が、カハラオプナに横恋慕。カウヒに嘘を吹き込んだため、怒りに燃えたカウヒはカハラオプナを殺してしまいます。
 

その様子を目撃したのが、カハラオプナのアウマクアだったフクロウでした。フクロウは地中に埋められたカハラオプナを急いで掘り起こすと、呪文によって傷を癒し、カハラオプナに命を吹き込みました。カハラオプナはすぐに元気になり、美しさを取り戻しました。
 

数日後、カハラオプナの復活がカウヒの知るところに。またもやカハラオプナをおびき出し、人里離れた場所で打ち殺してしまいます。フクロウは再度カハラオプナを救うのですが、執拗なカウヒがまたカハラオプナを殺害。そのたびにフクロウはカハラオプナを蘇生し、こんなことが5回続いた後のこと。カハラオプナの身体があまりに地中深く埋められてしまったため、フクロウはカハラオプナを掘り起こすことができませんでした。
 

そこでカハラオプナの魂が身体を抜け出してさまよい始めると、運のよいことに、親切な酋長が通りかかりました。カハラオプナの魂はなんとか親切な酋長の注意を引き、自身の身体の埋まる場所まで案内。無事、生き返ることができたカハラオプナは、酋長と恋に落ち、後に2人は結婚するのでした。
(物語はさらに続きますが、アウマクアの活躍する前半を紹介しました)

カハラオプナの残酷な許婚は罰せられ、マノアを見下ろすヴァアヒラの丘に変化(へんげ)した。写真中央がヴァアヒラの丘

「パンチボウルの上で踊る幽霊」
昔々、ホノルルにカケイという若い酋長がいました。カケイはある日、勇猛な戦士を集めてカウアイ島ワイメアに上陸。ある村を襲撃しました。それは深夜の出来事でした。深い眠りについていた村人達はろくに戦うチャンスもないまま、多くが命を落とし、女性や子供は捕虜になりました。しかも村の小屋には火がつけられ、燃え落ちてしまったのでした。
 

小屋に火をつける前、酋長カケイは部下に命じてカパ布や木製のボウル、羽毛のケープ、カヌーなど金目のものを盗み出させ、カヌーに積んでホノルルに持ち帰りました。この時、たくさんの捕虜も泣く泣くホノルルに連れてこられたのでした。
 

カケイの軍団はホノルル港からオアフ島に上陸。ホノルル港の後ろには、火山パンチボウルがそびえています。パンチボウルの裾野で戦勝祝いのルアウが開かれ、たくさんの魚や豚、ポイ、カヴァ酒が振る舞われて、戦士たちの笑い声が一帯にこだましました。一方、カウアイ島から連れてこられた捕虜は皆、祝いの宴の輪の外でただ恐ろしさに震え、泣き続けることしかできませんでした。
 

その時、急に地面が揺れ始めました。地震です! 崖の斜面が崩れ始め、人々は悲鳴をあげながら逃げ惑いました。次いで、なんとパンチボウルの山が噴火を始め、勢いよく溶岩が流出し始めたのです。

アウマクアの力によって噴火したとの伝説が残る、パンチボウルの山

山頂を見上げるカケイ達の目に、さらに恐ろしい光景が映りました。溶岩を噴き出す山の上に、たくさんの霊が漂っています。幽霊達はゆらゆらと静かに、風に揺れるように前後、左右に動き続けました。それはまるで、神聖な美しいダンスを踊っているかのようでした。
 

パンチボウルの山の上に現われたのは、カウアイ島の捕虜たちのアウマクアでした。連れ去られた女性や子供達を守るため、そしてカケイの軍団を罰するため、ホノルルに出現したのです。
 

カケイ達は慌ててふためき、結局、捕虜と戦利品をカウアイ島に戻すことにしました。カヌーに捕虜が乗せられ、出航すると同時に、カフナ(神官)が儀式を行い、アウマクアに許しを請いました。その謝罪が受け入れられたのでしょう。カヌーが水平線の彼方に消えていくと、ようやく噴火が収まったのでした。それきり、パンチボウルが噴火することは二度となかったということです。 

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。 森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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