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2014.12.11

ハワイアン・ハイビスカス

古い歴史的背景を持つハイビスカスの園芸品種

  • 州の花であるハイビスカスは、中国原産のブッソウゲ(園芸品種)と、ハワイ固有のハイビスカス(コキオ・ウラなど)をかけ合わせ、多くの種類が作られた。
     
  • ハワイ州の花であるハイビスカス(マオ・ハウ・ヘレ)と、ハワイアン・ハイビスカスとは異なる。ハワイ州花はイエロー・ハイビスカスとも呼ばれるが、黄色の花弁を持ったハワイアン・ハイビスカスは、ハワイ州の花(マオ・ハウ・ヘレ)ではない。

 

◆ハワイアン・ハイビスカス
テレビや映画、雑誌などを飾るハワイの花の代表と言えば、ハイビスカスでしょう。かつて日本航空が飛ばしていたリゾッチャ号の尾翼にはハイビスカスと小鳥が描かれていました。このハイビスカスこそ、ハワイを代表する花と言ってよいかもしれません。加えて、ハワイ州の花と認定されているのもハイビスカスです。


しかし、これにはいくつもの「但し書き」が必要です。リゾッチャ号に描かれたハイビスカスは、ワイキキのカラカウア大通りやビーチなどで見られるハイビスカスと同じもので、正しくはハワイアン・ハイビスカス(Hibiscus spp.)と言います。一方、ハワイ州の花であるハイビスカスはマオ・ハウ・ヘレ(Hibiscus brackenridgei)と呼ばれる黄色の花で、ハワイアン・ハイビスカスとはそれほど近い仲間ではありません。遠目には似ていますが、よく見ると、花色、繊毛(花や葉の表面に生える細かな髭状のもの)、蕾、形状など、すべてが異なります。

公園に植えられた白花種のハワイアン・ハイビスカス

◆誕生の由来
マオ・ハウ・ヘレがハワイ諸島固有の植物であるのに対し、ハワイアン・ハイビスカスは中国原産のブッソウゲ(Hibiscus rosa-sinensis)とハワイ原産のハイビスカスの1つであるコキオ・ウラ(Hibiscus kokio)などをかけ合わせたものです。野生の植物ではなく、園芸品種です。


ハワイに導入されたのは20世紀初頭のことです。さっそくハワイ農事試験場で品種改良が行われました。ブッソウゲは当時すでに多くの園芸品種が作られていたため、ハワイ固有のハイビスカスとかけ合わせた結果、さまざまな色合いの花が誕生しました。その後ハワイ大学の研究機関も加わり、毎年数多くの園芸品種が作られようになりました。その結果、ハワイアン・ハイビスカスの品種数は5000種とも6000種とも言われるほどになりました。


今日、ハワイ諸島各地にある公園や植物園、庭園などにはさまざまな名前と色合いのハワイアン・ハイビスカスが植えられ、人々の目を楽しませています。
ハワイアン・ハイビスカスのなかには、ゆかりの深いハワイの土地や人物の名を付けたものが数多くあります。写真の「ヌウアヌ・パリ」や「ダイヤモンドヘッド」などはそれらのひとつです。

「ヌウアヌ・パリ」と名づけられた品種

◆植物学情報

ハワイ名:Aloalo

和名:ハイビスカス(通称)、ハワイアン・ハイビスカス

英名:Hawaiian Hibiscus

学名:Hibiscus spp. / Hibiscus hybrids

特徴:低木 2~5m、花のサイズは 9~15cm。ハイビスカスの仲間は世界に250種ほど分布する

「ダイヤモンド・ヘッド」という名の園芸品種

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

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