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2017.10.18

パイナップル

パイナップル

ハワイで最初にパイナップルが登場するのは16世紀頃という説があります。当時、ハワイ島コナの海岸で外国船が難破し、積荷の一部だったパイナップルが漂着したものを、住民が栽培したというものです。しかし、18世紀末にキャプテン・クックが来島するまでの歴史はあいまいです。記録として残るのは、1813年のことです。

パイナップルの葉はきわめて強靱で、かつては吹き矢の矢じりに使われたほどでした。加えて鋭いトゲがあり、これが効率の良い栽培を困難にしていました。その後の1886年に、ジャマイカから葉のトゲがないスムース・カイエンという品種が導入されました。それまでのパイナップルは鋭いトゲのせいで生産性が低かったのですが、これを転機に耕作地が広がり、生産量が増大しました。今日ではカイエン種が全流通量の90%近くを占めます。

1892年にキッドウェルという人物がオアフ島で生産を始め、その数年後、ドールがホノルルにパイナップル工場をつくりました。やがて大量生産が始まり、缶詰加工が行われるようになると、パイナップルは一大産業として発展します。ほどなくハワイは世界一のパイナップル産地となりました。しかし、少しずつ労働賃金の低いアジア産に押され、今日では主要産業の地位を他国に譲っています。今日ではオアフ島に残るドールのパイナップル農園をはじめ、いまもわずかながら農園が点在し、ハワイ風物詩のひとつとなっています。

露地売りのパイナップル

その他に、甘みの強いクイーン種、甘みも酸味も強いレッド・スパニッシュ種などがあります。ハワイのプランテーション・パイナップルはほとんどがカイエン種ですが、少量ながら、酸味が少なく芯が目立たないコナ・シュガーローフという品種や、ヒロという品種もあります。ちなみにワヒアヴァのドールプランテーションには、世界中の主要なパイナップルが植えられています。

ハワイ語ではハラ・カヒキと言いますが、ハラとはタコノキのことで、タコノキの実や香りがパイナップルに似ていることから誤用されました。ハワイに導入されたパイナップルは、今日ではオアフ島とマウイ島に数社が残るだけですが、20世紀半ばの最盛期にはどの島でも生産され、世界に輸出されていました。ハワイではラナイ島がもっとも盛んでしたが、パイナップル産業の衰退とともに廃れ、かつての広大な農園は荒野と化しました。

パイナップル産業はハワイの歴史に深い関わりがあります。カメハメハ王朝の消滅とハワイ共和国、後のアメリカ併合に大きな影響を及ぼしました。初期のパイナップルは「カイルア」と名づけられ、サンフランシスコに送られました。

ハワイ島ヒロのホワイト・パイナップル

今日、パイナップルは世界に2000種近くありますが、その多くは着生植物と言って、他の植物の樹上で育ちます。ただし栄養は自分で摂ります。しかし、食用のパイナップルは地生植物で、地面に育ちます。今日では100種ほどの品種があります。

パイナップル(ananas comosus)はパイナップル科アナナス(Ananas)属の多年草です。ブラジル原産で、アナナスという学名は、ナヌス(nanus)という土地の名前に由来します。これとは別に、「ア」はポルトガル語で「果実」、「ナナ」は「優れている」という意味だとの説もあります。一方、パイナップルという言葉は、スペイン語の「ピナ」が英語化し、これに果実を表す「アップル」が付いたと言われます。

パイナップルは、サイズが大きくて軸が太く、下膨れしたものほど良い味がします。底を押して軟らかければ食べ頃ですが、そうでない場合は冷蔵庫に入れて2日ほど寝かせると酸味が減ります。

生長したパイナップル

植物情報

学名:Ananas comosus パイナップル科アナナス属
ハワイ名:Hala kahiki
英名:Pineapple
和名:パイナップル
原産地:ブラジル / 外来種
特徴:多年草、1.0~1.5m。花のサイズは3~6cm。チューブ状の明るい紫色の花が、後に果実となる部分から200 前後がつく。葉は長さ60cm~100cm、幅6~8cm。葉の基部が重なり合い、器のような構造をしている。葉の基部に水や腐植した葉を蓄え、水分と栄養の補給を行う。そのため乾燥にもある程度持ちこたえる。食用となるのは、苞と萼、花弁などが融合して果肉のように変化した部分で、集合果と呼ばれる。果実のサイズは25~35cm。果実の頂にある葉のように見える部分は芽で、芽か子株を切り取って砂地に挿すと、新しい株が誕生する。

 

 

※トップ画像はオアフ島ワヒアヴァに広がるパイナップル畑です。

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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