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所用時間5min
2014.01.17

古代ハワイのヒーリング

神への祈りとカフナの深遠な知識が癒しの基盤をなしていた

  • カフナは「祈祷師」「神官」というだけではなく、各分野の専門家を意味する言葉
  • 祈りは癒しのパワーの触媒
  • 古代から「専門医」がたくさんいた

ハワイ大学医学校の薬草ガーデンには癒しを求めるハワイ語の祈り「プレ・ホオラ」のパネルが掲げられている

古代の専門職、カフナ
古代ハワイでの癒しの概念は、信仰と強く結びついたものでした。病気やけがは過去の行いに対する神からの罰であり、神の許しがなければ癒しはもたらされない。同時に、いかなる癒しも神のなせる技。なぜなら神が万物を司るのだから…。
 

そんな信念のもと、医師にあたるカフナ達も、祈祷することから治療のプロセスを始めました。祈りは癒しのパワーの触媒。神への祈りなくして、どんな薬草も施術にも力はない、と考えられていたためです。

ただし、ここで古代ハワイの癒しが「おまじないだけに頼った原始的なもの」と考えてしまうと、真実を大きく見誤ることになります。

この点の理解のため、まず医師も含む古代の専門職、カフナについて説明しましょう。

ワイキキのハレクラニホテル前の海は通称「癒しの海」と呼ばれる。昔この海には癒しのマナがみなぎると信じられ、カフナが常駐した

日本でカフナは「呪術師」「祈祷師」といったニュアンスで知られることが多いですが、古代ハワイでのカフナは各分野の専門職でした。祭事の専門家である神官や預言者もカフナなら、医術やカヌー作り、航海術、農業の専門家もカフナ。
 

それぞれ、カフナ・カライヴァア(カヌー作り)、カフナ・ホオケレヴァア(航海術)といった肩書きで呼ばれていました。
 

祭事を司るカフナだろうとなかろうと祈祷を学んだのに加え、カフナはその道の研鑽をも積んだ、知識深い人々でした。現代になぞらえれば医師、科学者、芸術家、弁護士、学者など多くの知識人が、昔はカフナと称されたことでしょう。事実、ハワイ語辞典(ハワイ大学発行)によると、1845年に制定されたハワイ王国の法律でも、医師、外科医、歯医者をカフナと総称しています。

タヒチから来たカフナが癒しのマナを残していったとの伝説が残るカフナストーン(ワイキキ)

「専門医」がたくさんいた古代ハワイ
医術を専門とするカフナにも、さらにたくさんの種類がありました。妊娠・出産を助けるカフナ・ホオハナウ・ケイキ、マッサージ師のカフナ・ロミロミ、疾病診断に秀でたカフナ・ハーハーなど分野も細分化され、今でいう専門医がたくさんいたことが知られています。
 

その医学的研究、訓練も、かなり進んだものでした。たとえばカフナ・ハーハーは、人型に480の小石を散りばめて作ったパパ・イリイリ(人体解剖図状のもの)で、身体の器官や痛みのツボ、関節を学習したとのこと。頭痛や寒気、柔らかい腫瘍やころころ動く腫瘍、腫れ、発汗など実に270以上の症例を学び、患者の息を嗅いだり手で触れたりと五感を駆使しながら診断を下したそうです。
これらの事柄を考えても、古代ハワイの医療が「神頼み」を超え、かなり深遠なものだったことが伺えます。

パパイリイリで学ぶカフナ達
ビショップ博物館の展示より

付帯的な情報・発展情報

オアフ島ワヒアワにある史跡、クーカニロコ(通称はバースストーン)。産みの苦しみを和らげる不思議なマナ(霊力)を持つ岩がここにあり、昔は多くの王族女性がクーカニロコで出産したとされています。ただし出産にはカフナ(もちろん医療専門です)が立会い、薬草も多用され、出産の苦しみを軽減する努力をしたとか。何も岩の持つ不思議なマナだけに頼った無痛分娩ではなく、ここでもハワイ伝統の癒しの術が、大いに出産を助けたのでした。

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニーマガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)がある。 森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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