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所用時間5min
2015.12.30

ハワイ音楽の歴史~1950s ジェノア・ケアヴェ

フラソングを歌い続けたレジェンド~アンティー・ジェノア

 2008年2月21日(木)、これは現代ハワイ音楽史における最も偉大なアーティストのひとりの命日として永遠に記憶される日です。ハワイ音楽界の生きる伝説と呼ばれ続けたジェノア・ケアヴェが、90歳を目前にしてこの世を去った日だからです。

 「アンティー・ジェノア」と親しまれたジェノア・ケアヴェは、1940年代にデビューしてから2000年代まで現役で活動したハワイ音楽界の大御所中の大御所。フラ・ダンサーなら誰もが知る、あのトレードマークの高音域の歌声で『パパリナ・ラヒラヒ』『イ・アリイ・ノー・オエ』『クウ・レイ・ホークー』『ノホ・パイパイ』などのトラディショナルなフラソングを代表曲として歌い続けたアーティストです。

 裏声を使って高音域で歌うファルセット・シンギング・スタイルはハワイアン・ミュージックのひとつのスタイル、これを得意としたジェノア・ケアヴェの真価は、彼女のお得意のレパートリー『アリカ』で聴くことができます。彼女のボーカル・スタイルは、子供時代の教会での合唱、そして人気ハワイアン・シンガー、アリス・ナマケルアによるトレーニングで形成されたものであると言われますが、彼女自身はいつもインタビューに答えて、「神さまから授かったもの」と説明していました。一度でもジェノアのライブを観たことがある人なら、『アリカ』を歌う彼女のすごさもさることながら、彼女のフラへの愛着を感じずにはいられなかったはず。フラ・ダンサーが踊りやすいアレンジとテンポで歌い演奏するのが、ジェノア・ケアヴェのかたくななまでのスタイルであリ続けました。バーでのライブに来るフラ・ダンサーの客には、その場で即興で踊らせるのが常でした。アンティー・ジェノアはフラ・ダンサーのために歌い、フラ・ダンサーはアンティー・ジェノアのために踊る。歌と踊りのいい関係、それは彼女が示し続けた大切なことのひとつと言えるでしょう。

 

「常磐ハワイアンセンター」のメインアクトを務めた最初のハワイアン・アーティストでもある彼女は、日本にも多くのファンを持っていました。晩年、ワイキキで演奏する彼女は、新しいファン層となった日本から観に来る若い世代のフラダンサーやミュージシャンからも慕われていました。

 彼女の最後のライブ・ステージは、2008年1月31日、長年毎週演奏し続けたワイキキ・ビーチ・マリオット・ホテル&スパのプールサイド・バーでの演奏でした。

 

  • よしみ Nui だいすけ
    Daisuke Yoshimi
    担当講師

    【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
    facebook: https://www.facebook.com/NuiDaisuke
    公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/

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