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所用時間5min
2016.05.12

食用植物

ハワイの食物のイメージはさまざまなトロピカルフルーツやナッツ類でしょう。ここでは、今日広くハワイに流通している食用植物のうち、ハワイに自生(野生化)しているもの、あるいは栽培しているものを中心に紹介します。

果実

 ハワイでは100を超えるトロピカル・フルーツが栽培されています。そのなかから、とくによく知られているものを紹介します。

 バナナ(マイア)やココナッツ(ニウ)、マウンテンアップル(オヒア・アイ)、サトウキビ(コー)などは、伝統植物と呼ばれます。これらはソシエテ諸島やマルケサス諸島などから移住した先住者が持ち込んだものです。これらの果実は嗜好品としてではなく、主食や非常食として暮らしに不可欠なものとして用いられました。

伝統植物のひとつであるバナナ(マイア)

 その後、西欧人が定住するようになると、パイナップル(ハラ・カヒキ)やマンゴー(マナコ)、パパイヤ(ミカナ、ヘイー)、パッションフルーツ(リリコイ)、グァバ(クアヴァ)、ストロベリーグァバ(ワイアヴィー)、スターフルーツ(フア・ホークー)、アボカド(ペア)などが栽培されるようになりました。これらの植物は移住者がそれぞれ個人的に持ち込んだのものではなく、園芸植物の売買を行なう商人を通じて導入されました。なかでもスペイン系アメリカ人のドン・マリンは園芸業者として数多くの食材に関わりました。果実やナッツでは、パイナップル、マンゴー、グァバ、パパイヤ、アボカド、イチジク、アプリコット、モモ、ナシ、リンゴ、ライム、レモン、オレンジ、コーヒー、ココアなどがあります。また、ハワイで最初にブドウ畑をつくり、ワインを生産したのもマリンでした。ホノルルの vinyard(「ワイン畑」の意味)通りは、彼のブドウ畑を横断することに由来します。(※パイナップルをはじめとする主な果樹はイギリス人のジェームズ・マクレーによってもたらされたという説もあります。)
 これらの果樹はハワイの農業試験場でさらに品種改良を行ない、農産物として諸島全域に広まりました。

多くの品種があるマンゴー

ナッツ

 コーヒー(コペ)はハワイ島のコナコーヒーを筆頭に、カウアイ島、オアフ島、モロカイ島、マウイ島、ハワイ島で栽培されています。マカダミア(マカケマ)ナッツもハワイ島を中心に広く栽培されています。ちなみに、コーヒーの果肉を使用したジュースなども加工販売されています。
 

主食

 タロイモ(カロ)、ブレッドフルーツ(ウル)、サツマイモ(ウアラ)などは、いずれもハワイ人の主食として深く伝統文化に関わってきました。キャプテン・クックが来島した18世紀末には300を超える品種があったと報告されています。当時のハワイ諸島はアフプアアという小規模な自治体の集合体で構成されていて、自治体ごとに独自の品種を栽培していました。今日ではさらに種類が増え、500前後の品種があります。この他にも、日常的に利用される果樹や野菜類、穀物類がハワイ諸島で広く栽培されています。

タロイモの根茎

 

※トップ画像は熟しはじめたコーヒーノキの実です。

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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