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2015.07.29

ペレ神話2 「ペレを怒らせたプナの酋長の話」「ブレッドフルーツを焼いていた少女」

  • ハワイ島では今も、火山の噴火は女神ペレの怒りの結果と信じる人が多い。

ペレを怒らせたプナの酋長の話
ホルアとは、古代ハワイのスポーツの1つ。山の斜面に滑りやすい草を敷きつめて滑走路(ホルア・スライド)を造り、細長い木製のソリに寝そべってその上を滑り降りる、ダイナミックな遊びです。大変危険でもあり、王族だけがホルアを楽しんだものでした。
 

昔々のこと。ハワイ島プナ地区のカポホ近くのホルア・スライドで、カハヴァリという若い酋長がホルアを楽しんでいました。カハヴァリは誇り高い男でした。なので滑走路の上で見知らぬ女性に「どっちが早く滑ることができるか、競争しましょう」と声をかけられた時にも、そっけなく拒絶。女性に背を向け、一人で滑走路を滑り始めたのでした。
 

ところがしばらくすると、滑走路の下でホルアを見物していた人々から悲鳴が上がりました。滑走しながらカハヴァリが振り向くと、すぐ後ろに、先ほどの女性が迫ってきていました。なんとその女性は全身を炎に包まれ、真っ赤な溶岩にのって滑走路を滑り降りてきます。

2014年11月のキラウエア火山噴火でパホアの街の間近まで迫った溶岩

そうです。先ほどカハヴァリが邪険に扱った女性は、こともあろうに火山の女神ペレだったのです!
 

自分の犯した過ちを悟ったカハヴァリは、持てる力を振り絞ってスピードを上げ、なんとかペレよりも先に滑走路の下に到着しました。燃える溶岩が足元まで迫っていましたが、全速力で海岸まで走り、カヌーとともに待っていた兄の元へ。そのまま沖に漕ぎ出し、ぎりぎりでペレの追っ手を逃れたのでした。
 

こうしてペレの怒りを買った以上は、そのままペレの陣地であるハワイ島で暮らすわけにはいきません。カハヴァリは、その後マウイ島に引っ越した、ということです。

パホアの街にある女神ペレの壁画

ブレッドフルーツを焼いていた少女
昔、ある高地で、2人の少女がブレッドフルーツ(パンの実)を焼いていました。「私の神様はラカよ。すごく慈愛に満ちているの」。「私の神様はカポよ。気さくな神さまなの」。2人は口々に、自分の崇拝する女神について自慢していました。
 

そこに唐突に老婆が現れ、一人目の少女にブレッドフルーツをくれ、と頼みました。
「ダメよ! これはラカ様のものなんだから」。
少女がつれなく断ると、老婆は尋ねました。 「ラカは強い神様かい」
「そうよ、とってもね」
「じゃ、ひょうたんに入っている水をくれるかい」
「ダメよ。これもラカ様のものなの」
 

そこで老婆は、今度は2人目の少女に頼んでみました。すると2人目の少女は、親切にブレッドフルーツも水も老婆にくれたのでした。満足した老婆は立ち上がると、親切な少女に言いました。
「家に帰って両親に言うのだよ。家に食物を貯めておくこと。そして今日から10日間、家の角に旗を吊るしておくようにってね」


優しい少女がさっそく家に帰ってそのことを親に告げると、親はすぐに悟りました。その老婆はただの老婆ではなく、火山の女神ペレにほかならないことを…。両親は自分の娘が老婆に親切にしたことを喜び、言われたことを忠実に守りました。

そして10日が過ぎた時、火山が噴火し、少女達の村にも溶岩が迫りました。ですが不思議なことに、優しい少女の家だけは溶岩による破壊を免れたのでした。
 

…このような不可思議な話が伝わるため、ハワイのお年寄りは子供や孫に、見知らぬ人に親切にすること、くれぐれも無礼な応対をしないように教えます。ケチな人間にならないことも。そう、物語中の少女のように、うっかり女神ペレに失礼な行いをしたら大変ですから。 

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)がある。
    森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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