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所用時間5min
2014.01.18

ハワイ音楽~ルーツ チャントからヒメニ

ハワイ音楽の歴史をたどる チャントからヒメニまで

  • ハワイアンのルーツ・ミュージックはチャント
  • フラを踊るための歌は打楽器のビートとチャントのメレフラ
  • 賛美歌の影響を受けたヒメニ

現代のハワイアン・アーティストたちの音を聴いてもらえば一"耳"瞭然なのだが、ハワイアン・ミュージックと一言でいっても、そのサウンドは多様です。ウクレレ、ギター、ベースにボーカルという典型的な構成でフラのための音楽を新しいアレンジで演奏するハワイアン・グループがいれば、カラパナやC&K系のAORなサウンドで勝負するバンドあり、アイランド・テイストあふれるレゲエ・サウンドのグループあり、まったり心地よいスラック・キー・ギターを聴かせるアーティストあり、ウクレレ・ソロ・プレイのインストものあり、アイランド・ポップスあり、アイランド・ジャズあり、本当にいろいろです。 現代の多様なハワイ音楽は、どんな流れで今に至ったのか、数回に分けてハワイ音楽の歴史をたどってみましょう。

 

ルーツ・ミュージック 「チャント」

「音楽の土壌」という点に注目すると、人口も資源も限られた「島」という環境はプラスに作用するようです。ジャマイカにジャマイカン・ミュージックがあり、沖縄にオキナワン・ミュージックがあるように、ハワイにハワイアン・ミュージックがある。ハワイもジャマイカや沖縄のように音楽が生活に密着している土地柄であり、それが固有の文化となっています。ハワイにはプロからアマチュアまでミュージシャンがたくさんいます。一家に一人はウクレレやギターを弾き歌うファミリー・メンバーがいるような土地柄です。ミュージシャン人口密度の高さも相当なもの。海で阻まれた島は、同時に海によって外とつながっている。島には海を渡っていろんなものが流れ着く。島の人はそれらを受け入れ自分たちのものとして吸収、加工していく。ハワイの音楽もそのようにして育まれてきました。 ハワイの島々に住む人々は、その存在を西洋や東洋の世界に知られることなく何世紀ものあいだ社会を築いて生活をしていました。彼らはとても信心深く、周りの自然界のあらゆるものに神や霊的な存在を見出して、機会あるごとに祈りを捧げながら暮らしていました。祈りの文句はチャントとして唄われました。文字を持たない口承文化を伝えていたハワイアンは、チャントに多くの情報を込めて、記憶し、唄い踊ることでそれを伝達していたのです。ハワイアンの伝統的なダンスとして知られる「フラ」は、本来、「チャントを唄い踊ること」を意味し、唄い踊られるチャントを「メレ・フラ」といいます。メレ・フラには打楽器によるビートが加えられました。「フラは、打楽器のビートがあってこそすばらしい」という意味のハワイ語の古い格言があります。フラ・ダンサーの踊りは、チャンターの唄と打楽器のビートこそが頼りだったのです。打楽器はココナッツや竹、椰子の木、ひょうたんなど、島の自然にあるもので作られました。古代ハワイの打楽器の中で、特に音もサイズも大きいパフと呼ばれるドラムは、椰子の木の幹とサメの皮で作られたもので、伝説によるとその昔、タヒチからハワイに渡ってきたフラ伝道者が始めて持ってきたらしい。彼が海を渡って持ち込んだ強烈なドラムの音色とそれに合わせて踊るフラにハワイの人々は心を奪われ、彼に弟子入りして彼のフラ・スタイルを学び伝えたといいます。

西洋音楽との出会い
18世紀、太平洋の真ん中に浮かぶハワイ諸島は西洋人に発見されます。ハワイに海を渡ってあらゆるものが流れ着くようになります。ハワイにはなかった近代文明の機器、武器、キリスト教、病気、貨幣システム、移民などなど。西洋との接触後の初期にハワイへ移り住んできたのは、宣教師の一団でした。「野蛮な土着民」ハワイアンを改宗すべくやってきた宣教師たちがハワイに持ち込んだもののひとつに賛美歌がありました。宣教師たちの教えは、始めにハワイアンの支配階級に属する首長クラスに受け入れられはじめます。あえてハワイ語を使っての布教活動を始めた宣教師たちは、まず文字を持たないハワイ語にアルファベットをあてはめることで、ハワイ語による印刷物を作ることを可能にした。そして最初に作られたのがハワイ語の聖書。教会で歌う賛美歌もハワイ語に訳され歌われました。ハワイ語の賛美歌は「ヒメニ」と呼ばれました。(英語の「Hymn」からきているのは明白)  改宗した首長クラスのハワイアンたちは、同時に賛美歌の持つメロディー・ラインとハーモニーの美しさに魅せられました。このときハワイアンは、メレフラのほかに、ヒメニという新たな音楽を手に入れたのです。

  • よしみ Nui だいすけ
    Daisuke Yoshimi
    担当講師

    【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
    facebook: https://www.facebook.com/NuiDaisuke
    公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/

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