講座詳細
ロケラニ
ロケ・ラニとは、ダマスクローズの名で知られるバラです。ダマスクローズはロザ・ガリカとロザ・モスカートを交配して作られたバラで、数あるバラのなかでもとくに香りが高く、虫害に強い品種とされます。原産地は小アジアですが、主要生産地はブルガリアです。
ハワイには1820年代に導入され、チャールズ・スチュワードが繁殖に成功し、その後、諸島に広まりました。ハワイではとくに濃ピンクの八重咲きを指してロケ・ラニ(天国のバラ)と呼びます。
ロケ・ラニのレイ
花にはレモンを甘く濃厚にしたような芳香があります。ハワイの人々はロケ・ラニの香りに魅せられましたが、なかでもマウイ島ラハイナを中心に庭花として人気が高まりました。やがて地元では本種を「マウイのバラ」と呼ぶようになり、その後1923年にマウイの島花に認定されました。ハワイにはその後もさまざまな品種が導入され、今日ではダマスクローズに限らず、濃ピンクの品種を総称してロケ・ラニと呼んでいます。
ロケ・ラニの株(photo by Starr Environmental)
今日ではほとんど見られなくなりましたが、ダマスク・ローズの矮小種であるロケ・ピヒ(Rosa chinensis var.minima)や、緑色の花をつけるロケ・ラウ(Rosa chinensis var. viridiflora)などもかつてはロケ・ラニとともに知られていました。
ロケ・ラニ(photo by Starr Environmental)
植物情報
ハワイ名:Loke lani
学名:Rosa damascena バラ科バラ属
英名:Damask Rose, Maui Rose,Summer Damask
和名:なし
原産地:小アジア 外来種
特徴:低木、1.2~2.4m。花のサイズは8~10cm。ダマスク種のバラを中心に、濃いピンク色のバラをロケラニと呼ぶ。
-
近藤 純夫Sumio Kondo担当講師
エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio