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所用時間5min
2019.02.18

激動のハワイ史の舞台 カマカホヌ

カメハメハ大王が晩年を過ごした海辺の地

16世紀のこと。ハワイ島の大酋長、ウミは政治の中心地を島北部のワイピオ渓谷から西部のコナに移し、16世紀以降、コナ沿岸には7つの王族居住区が連なっていました。つまりコナ全体が大変歴史深い地域なのですが、中でもウミが本陣を構えたカイルアコナの北端、今ではキングカメハメハホテルが建つ地域はカマカホヌと呼ばれ、ハワイ史上に残る数々の重要な出来事の舞台として知られています。

たとえばカメハメハ大王が晩年を過ごし、死去したのもここなら、アメリカからやって来た宣教師がハワイで初上陸したのもカマカホヌ。ハワイ島屈指の歴史的なエリアといえるでしょう。

カマカホヌはハワイ語で「カメの目」を意味する

カメハメハ大王がカマカホヌで暮らし始めたのは、1812年。1795年にハワイ王国を建設後、ホノルルで暮らしていたカメハメハ大王は同年、カマカホヌに移り住み、1819年、ここで死去しました。カメハメハはまず海辺に突き出すようにして建っていた古い神殿、アフエナヘイアウを再建。さらに住居を建て、一帯には養魚池も造られていました。

アフエナヘイアウは16世紀、ウミによって建てられたもので、本来は戦いの神クーに捧げられた神殿だとの説があります。ですがカメハメハは新たに平和と豊穣の神ロノを祀り、崇拝。晩年のカメハメハは平和な王国造りに専念し、カマカホヌで穏やかな最期を迎えたのでした。

アフエナヘイアウ(1970年代に復元されたもの)

カマカホヌでの出来事がハワイを永遠に変えた

カメハメハ大王の死後も、カマカホヌはさまざまな出来事の舞台となっています。カメハメハの跡を継いだ息子のカメハメハ2世は古代宗教を廃止し、神殿破壊令を出したことが知られていますが、その指令を出した地がほかならぬカマカホヌでした。その決断の黒幕は、カメハメハ大王の2人の妃、カメハメハ2世の母ケオプオラニと義母にあたるカアフマヌ。その背景には、こんな事情があります。

夫の死後、カメハメハ2世の摂政として政治の実権を握ったカアフマヌ妃は、かねてから古代宗教に基づく社会の掟(タブー=ハワイ語でカプ)に不満を抱いていました。カプ制度によって女性が国を治めづらい状況が作られていたので、それを打破しようと画策。まずは象徴的に、男女一緒に飲食するのを禁じる当時の掟を破ることを意図して、カメハメハ2世に自分たちとカマカホヌの住居で一緒に食事をとるよう命じました。
 

その行為は、神をも恐れぬ大胆な行為でした。掟を破れば神の怒りを買い、天罰が下る、とされていたからです。ですが何事も起こらなかったことを理由に、カアフマヌらは神を否定し、カメハメハ2世は古代宗教廃止を宣言することになりました。ハワイの社会を何百年にもわたって縛ってきた宗教的な掟を覆し、大きな社会改革のきっかけになった一連の出来事が、カマカホヌで起こったのです。

初のキリスト教宣教師団の上陸地

さらにその翌年の1820年には、またもハワイを永遠に変える出来事がカマカホヌで発生。ボストンから初のキリスト教宣教師がカマカホヌの入り江に到着したのです。カメハメハ2世の許可を得た宣教師団が上陸したのが、入江のすぐ横の、今はカイルア桟橋となっている地点。1820年4月4日の朝のことでした。

ボストンを出港し、163日にわたる大西洋縦断の旅を経て到着した一行をカメハメハ2世&カアフマヌ妃らは手厚く迎え、その後、ハワイにキリスト教が浸透していくことになりました。

カイルア桟橋。宣教師団が上陸した当時の溶岩がまだ桟橋下に残る

ちなみにこのカマカホヌの宣教師団上陸地点は、後年、「ハワイのプリマス・ロックの地」(プリマス・ロックは、1620年、メイフラワー号に乗ったプロテスタント教徒らがマサチューセッツのプリマスに上陸した際、最初に降り立ったとされる岩のこと)とも呼ばれています。

 

「ハワイのプリマス・ロック」について説明する案内板

現在、カマカホヌはキングカメハメハホテルの敷地となっており、その海側には記念碑を含むさまざまな案内板も。美しいカマカホヌ湾やカイルア桟橋は、今やオーシャンスポーツの基地として賑わっていますが、ぜひそのディープな歴史を振り返りながら、海辺を散策していただきたいと思います。

(冒頭の写真は、キングカメハメハホテルに飾られている壁画。アーティスト&歴史家のハーブ・カネの作品で、カマカホヌでのカメハメハ大王&一族を描いています。右手の白いカパ布を着ているのがカメハメハ大王です)

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)がある。
    森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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