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所用時間5min
2015.03.02

グローブ・ファーム・ホームステッド

ハワイのサトウキビ・プランテーションの歴史を今に伝える

カウアイ島、リフエの街に近い、グローブ・ファーム・ホームステッドは1854年に、初期のサトウキビ・プランテーションを始めたドイツからの移民、ハーマン・ワイドマンのプランテーションでした。ククイの木が茂っている場所だったので、グローブ・ファームと名付けました。

 

ワイドマンは、当時プランテーションのマネージャーだったジョージ・ウィルコックスに土地をリースし、後にウィルコックスが買い取り、100年以上ウィルコックス一家が生活をしました。そして現在ではミュージアムとして国と州の歴史建造物に指定され、プランテーション当時の生活を展示しています。

 

ウィルコックス一家はジョージの両親、アブナー&ルーシー・ウィルコックスが宣教師夫妻として、ニューイングランドからハワイへ来ました。ハワイ島のヒロやカウアイ島のハナレイなどで布教活動し、その後、ジョージを始め、息子達がハナレイから現在のリフエに移り、サトウキビ産業を手がけるようになりました。時代はゴールドラッシュや南北戦争の後の経済上昇の中、ハワイでの産業が発達しました。

1867年くらいのグローブ・ファームの建て物

ジョージ・ウィルコックスは両親がハワイ島のヒロに宣教師として赴任し、後に、カウアイ島のハナレイのワイオリ・ミッション・ステーションに移動し ます。ジョージはその間、オアフ島のホノルル、プナホウ・スクールに行き、エンジニアの勉強をするために現在のエール大学に行っています。

 

卒業後はカウアイ島に戻り、ビジネスマン、砂糖産業プランテーションのオーナーとして、1922年からはグローブ・ファーム・カンパニーを経営しました。

 

エ ンジニアとしての知識をサトウキビ・プランテーションに最大限に生かしました。サトウキビは天候に恵まれたハワイで、問題なく栽培されていると思われがち ですが、水を多く吸収する植物で、450グラムの砂糖を採取するためには、2000ボンド(約907kg)の水が必要となります。

 

山の豊かな水をサトウキビ・プランテーションに運ぶ灌漑設備を作ったのも、ジョージ・ウィルコックスであり、後にこの設備は他の多くのプランテーションに引用されました。

 

このように、ジョージ・ウィルコックスはハワイの経済や産業に貢献し、今でも病院や教会、学校などにレガシーとなり名前が残されています。

 

サトウキビはハワイ王国にもその後、ハワイ共和国、そしてアメリカ合衆国の州となってからもハワイ産業の中心となり、ハワイが発展していく礎を作りました。

現在のグローブ・ファームの建て物

ジョージ・ウィルコックスは未婚だったため、子供はいませんでした。弟のサムはエマ・ライマンと結婚し、6人の子供をグローブ・ファームで育てまし た。エマはハワイ島ヒロに宣教師夫妻として来布したデイビッド&サラ・ライマン夫妻の末娘で、ジョージ・ウィルコックスとはプナホウの学校で知り合いまし た。二人の子供たちの中のエルシーとメイベルは未婚だったため、生涯をこのグローブ・ファームで過ごし、教育、公衆衛生、政治、歴史の保存などに貢献しま した。

 

メイベルが92才の時、グローブ・ファームを歴史的なサトウキビ・プランテーションとして、保管し、ミュージアムにすることを決めました。ウィルコックス一家が100年以上住んだ場所を、きちんと保管し、後生に伝えていくという選択をしました。

 

ウィ ルコックス・ホームの中にはツアーに参加しないと入れませんが、一階には、2つのベッドルーム、ライティングルーム、2つのバスルーム、図書室、キッチン があります。大きな階段で二階に行くと、またいくつかのベッドルームがあります。この建物の裏には1898年に建てられた日本式のティーハウスのあとに六 角形のガゼボがあります。建物の南側には1890年に建てたれたゲストルームがあります。

 

その隣には1877年に建てられたジョージ・ウィルコックスのコテージがあります。

 

そして1884年に建てられたオフィスビルになっている場所があり、100エーカー(約30万㎡)の敷地内には、ガレージ他、数々の建物があります。

1884年に建てられたオフィスビル

ウィルコックス家にはアンティーク・キルトのコレクションが約50枚あり、ウィルコックス・キルトという本も出版されています。サム・ウィルコックスの 母、ルーシーがニューイングランドから送ってもらい保存していたアルバムキルトを始め、ジョージがホノルルで購入したキルト、妻のエマ・ライマンが結婚時 に持って来た4枚のキルト、他にも古いキルトが保管されています。サムやエマの母親がニューイングランドから送ってもらったキルトは、パッチワークキルト でしたが、次第にハワイの自然のデザインを、1枚の大きな生地でカットしアップリケ、そしてエコーイングキルトという幾重にも輪取するキルトを施す特徴的 なハワイアンキルトに変化しています。パッチワークキルトからハワイアンキルトにいつ変化したかは定かではありませんが、数々の貴重なキルトコレクション が保管されています。これらのキルトは通常のツアーでは見ることができませんが、毎年学芸員や職員は、これらキルトコレクションをきちんと管理保存し、次 世代に伝えていく大切な使命を担っています。

キルトコレクションの中の一枚のハワイアンキルト-カウアイ島の花、モキハナ Quilted by Lydia Kaluapiilahaina Ellis and made around 1919.

Grove Farm Sugar Plantation Museum

4050 Nawiliwili Roa
Lihue HI  96766
Tel:  808-245-3202
Website: https://grovefarm.org/museum-services/
時間:2時間のガイド付きツアーは月曜、水曜、木曜の10時と13時(要予約)
休み:アメリカの祝日
料金:大人一人$20、子供(5才〜12才)は$10の寄付が必要となります。 


参考資料

The Wilcox Quilts in Hawaii by Robert J. Schleck  Grove Farm Homestead and Waioli Mission House 1986

https://grovefarm.org

  • 藤原 小百合 アン
    Anne Sayuri Fujiwara
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。メリーランド大学学士号取得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。ハワイ、日本でのレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。15年以上、パシフィックリゾートの「キルトパラダイス」(http://www.holoholo.world/kawaraban/category/quilt/)を連載中。 日本でハワイアンキルト本を数冊出版。2006年よりホノルルフェスティバルにおける伝統的ハワイアンキルト展を毎年開催。2013年よりイオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを始め、現在ハワイ在住31年目。

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