講座詳細

受講履歴を確認する
所用時間5min
2020.11.13

Mana(マナ)って何?

マナと言う言葉を聞かれたことがある方も多いと思いますが、まずは「マナ」と言う言葉の意味がどのようなものを指すのか見ていきましょう。

 

Pukui-Elbertのハワイ語辞書によるとマナとは;

超自然的または神の力、奇跡の力、強力な国家、権限、マナを与える、強力にする、マナを得る、承認、奇跡的に、マナの力を持つ

このようにたくさんの定義が書かれています。

 

マナと言うものは直接的であれ間接的であれ、超自然的な源より与えられた力であることは明らかです。

古代ハワイではマナはどのように考えられていたのでしょう

古代ハワイではマナと言うのは石、死者の骨、病を直すため或いは人を死に至らせるための薬などから発せられていることもあると信じられていました。そして主たる起源を神に持つ「人」や「物」に備わっていたと考えられていました。

また時には個人が持っている磁性、つまり人や物を引きつけるような力もマナとしてとらえられ、人間の素養というものも超自然的な力を帯びていると思われていました。

古代ハワイでは神の次に高いランクを持っていたのが支配を広げた酋長たち。これは生まれながらの世襲制であり代々先祖から伝えられたランクでした。ですから当時は結婚も同等のランクの者同士で行われ、血が混ざりランクが下がらないようにされていたのです。これは次の世代の支配者の力を損なわないためだったのです。

そのほかにもマナは個人に宿る場合もありました。例えば勇気や技術、そして知恵を持ったものにもマナが存在すると考えられていました。古代の戦いでは酋長たちは倒した敵の眼球をくりぬいて食べるという習慣があったようです。まだ人食の儀式などが残されていた時ですが、相手のマナを自分に取り入れる為だったようです。

ハワイ古代の武道であるルアにおいても、このように倒した敵の体のパーツを食べるという習慣があったそうです。これも同様に「勇気」というようなマナを自分に取り入れるためのものでした。

カメハメハ大王の母は妊娠中にサメの目を食べたと言われています。これも大胆で激しいサメの習性が自分のお腹の子供へと取り入れられるようにとの願いがあったようです。



一つ付け加えると、マナが宿ったものの中に「影」があります。最強のマナを持っていた聖なる酋長たちの上に、一般人や下級のチーフ達の影を落とすことがあってはなりませんでしたし、彼らの影を自分よりランクの低いものに落とすことは、自分のマナが崩壊するか、あるいは自分自身に害を与えると信じられていました。古代ハワイでは酋長達が外に出歩く際にはカヒリ(高位の者だけが持つサインー長いポールの先に鳥の羽が施された物)が掲げられ、酋長がやって来る警告を示しましたが、これも互いの影のマナに対するカプを犯さないためのものでした。

 

死後のマナはどうなるのでしょう

人の死後のマナは、その人の名前、骨、衣服、髪、爪、体の排泄物などに宿っていると信じられていました。しかしながらほとんどの場合は死とともに無くなってしまうようですが、本人の意思で子供などにその力を託したい場合には、それらのパーツを通してマナを伝えることもできたようです。

特別な適性や才能を持った人、例えばヒーリングの力を持っている人、予言者、優秀なフラの踊り手、釣りをするためのネットやカヌーを作る技術を持った人などは、自分の死期が近づくと家族などを集めて口頭での宣言があり、土地や家宝などが引き継がれたのだそうです。

ハワイアンにとって言葉(口頭陳述)は神秘的な力と拘束力のある契約という二つの要素を持っていました。それはもちろん言葉にもマナが宿っていると信じられていたからです。

芸術工芸などの世界ではもう一つHā(ハー)と呼ばれるものがありました。自分が後継者として選んだ一人を、死ぬ間際に呼び、自分のマナを呼吸と共に後継者に吹き込みます。通常これは家族ではない後継者の場合に行われた習慣のようです。

 

どのようなものにマナが宿るのでしょう

このようにハワイでは古代から全てのものにはマナが宿ると信じ、その考えのベースの元にハワイアンの文化が築かれていったと言っても過言ではないでしょう。

現在でもハワイの価値観は人と人あるいは、人と物との間に於けるマナの尊重が基本になっているのではないかと思います。

マナが「生命に宿る力」と解釈することから、ハワイの人達が古代から物に対しても命あるように扱うことが理解できます。ハワイアンは何にでも名前をつけますが、彼らの関わるもの達にもみんな命があり、マナが宿っているという敬意が固有名詞をつけるという習慣になったように思いますし、また自然現象、雨や風にも名前があるのは、それぞれのエレメントが個性あるマナを持っていることの表れではないでしょうか。

マナは形のない目に見えないもののようでもありますが、時には人や物の様子から感じ取ることができるものです。

例えば健康で頑強な体にはマナが宿っていると考えられます。知識豊富で聡明な人もマナが強いと考えられます。特殊能力や技能を持った人も、他にはカリスマ性の高い人。有名人であったり、いつも周りに人が集まるようなリーダー的存在の人もマナが強いと考えられます。

逆にいうと体が弱い人や、消極的でおとなしい人、目立たない人は先にあげたマナの強い人に対してマナの弱い人となるわけです。

 


カメハメハとナハストーン

カメハメハ1世が良い例だと思います。彼は体格がよく人並みはずれた強靭な力を持っていたと言われています。現在ハワイ島のヒロに置かれているナハストーンを覆したお話はご存知の方も多いかと思いますが、簡単に触れておくと、Naha(ナハ)一族に伝わる巨石は強力なマナを持っていると信じられ、一族の子供が生まれるとこの石の上に置かれ、動じずに泣かない子供はその一族のリーダーとなると言われていました。一族以外の者も、この巨石を覆す力を持つものはリーダーとなる力を備えていると言われ、カメハメハはあるカフナの予言通り、若干14歳でこの巨石を見事に覆し、のちにハワイを統一する事となります。このように、石にあるマナが、ある行為によってその行為をしたものに力が宿るという考え方もあったわけです。


良いマナと悪いマナ

それではマナというものには良いマナと悪いマナがあると思いますか?

マナとは「生命に宿る力」なわけですから、その力自体に「良い」も「悪い」もないのです。マナを良くするのも悪くするのも、そのマナを持っている人や物が、その力をどう使うかということが問題になって来るわけです。

どんなに聡明なマナを持った人でも、その力を人や社会のために活用できる力は素晴らしいマナとなって影響しますが、逆にその力を悪用すれば、人や社会を傷つけ脅かす存在にもなるわけで、そこで使われるマナは悪影響を及ぼす力にもなってしまうのです。



ですからハワイには古代からHoʻoponopono(ホッオポノポノ)と呼ばれる習慣がありました。これは各家庭を中心に、小さなコミュニティーの中で行われた日々の習慣で、その日起きた様々な問題をクリアリングして行く物ですが、本来のあるがままの状態(Pono)に全てをリセットすることが目的です。つまり諍いや不和は互いのポノであるものを尊重できていなかったり、バランスが取れていなかったりすることから起こると考えられ、互いに話し合うことでそれぞれのポノを認め合うのです。このポノであることがそれぞれの持つマナでもあるのです。全ての人や物にはマナが宿り、そのマナが本来のその人や物のあるがままの存在となるのです。ですから互いに認め合い、尊重し合うことで家庭、社会、そして民族が調和のとれた生活を送ることができていたのです。

言葉にもマナが宿ると信じてきたハワイアンは、自分の口から出す言葉にも細心の注意を払っていたのです。汚い言葉を発したり、不吉な言葉を発することで、そこに宿ったマナが自分に返ってくることを知っていたからです。

 

 

現代のハワイでもこのような考え方は守り伝えられ、家庭や学校、小さなコミュニティーから社会まで様々な場面で使われていると思います。

ハワイがアロハスピリットあふれる社会であるのは、昔から守られてきた個人や物に対するマナに敬意を持ち大切にする習慣が残されているからではないでしょうか。

自分のマナを強くしていく事は、自らの健康、精神、思考、感情の健康を向上させ、様々なものをポジティブな結果へと結びつけてくれます。つまりは幸せな人生を送るためには欠かせない事かもしれません。

さあ、今日からマナを向上させるためにできる事、考えてみて下さい。

  • ミイラニ・ヨシコ・クーパー
    Mi'ilani Yoshiko Cooper
    担当講師

    Kahaluʻu在住
    Halau Kīhene Pua Uluwehi (ハラウ キーヘネプアウルヴェヒ オアフ島/神奈川)主宰、クムフラ
    Lamakū Hawaiian Study Education (ラマクーハワイアンスタディーエジュケーション)主宰
    アロハフロウファウンダー
    プランツメディスンメイカー
     

    ハワイ大学ヒロ校ハワイ学科卒業 ハワイアンイマージョンスクールNāwahīokalaniōpuʻu(ナーヴァヒーオカラニオープウ)で教鞭を執る
    ハワイ大学マノア校言語学修士
    2006年正統な伝統儀式のもとクムフラの称号を与えられる
    フラヘブン(雑誌)に2年半連載ページを執筆
    個人、企業向けの様々なハワイ文化講座を指導
    現在ビショップ博物館Lā Kūleʻaプログラムのフラクラスを担当
    アンティ マイキのフラを継承するクムフラ、メイ カママル クラインの元、指導者としてフラを学び2006年8月にウニキを経てクムフラの称号を与えられる
    ジョニー ラム ホー、レイ フォンセカの元よりメリーモナーク フラ フェスティバルに出場経験多数
    カジメロブラザースやハパなど有名ミュージシャンのコンサートの出演経験多数
    また、ダンサーとしての体作りの必要性からヨガを始め、ハワイの文化とヨガを融合させた Alohaflowを独自で考案
    ハワイの価値観をもとにHoʻoponopono的なライフスタイリングや自然と調和できるサステイナブルなライフスタイルを目指している

関連講座
メンバー登録してアロハプログラムを楽しもう!

ハワイについて学ぶならまずはメンバー登録がおすすめ!