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所用時間5min
2016.01.28

ヒナの神話「月に登ったヒナ」「レインボー滝のヒナ」

女性らしさ溢れる女神ヒナの神話の舞台はさまざま

  • 女神ヒナは月の女神。半神半人マウイの母でもあり、マウイとともに登場する神話も多々あります。
  • カパ布作りの名手ともされ、強大な神というより女性らしさ溢れる女神として描かれることが多いと言えます。

月に登ったヒナ
女神ヒナは月の女神。元々は地上で暮らしていましたが、ある時、地上での生活に疲れ、月に登っていったそうです。その経緯につき、以下のような伝説が残っています。
 

ヒナが月に登ったとされるプウ・マエリエリの丘(オアフ島)

昔々の大昔。ヒナは不幸な家庭生活の中で、疲れ果てていました。カパ布作りの名手だったヒナは日がな一日、カパ布作りに精を出していました。ワケアの木の皮を水につけては叩いて伸ばしていくカパ作りは、かなりの重労働です。しかもカパ布作りの後には、山積みになった家の仕事もこなさなければなりませんでした。

ヒナの夫は横暴で自分勝手で、全てをヒナに任せっぱなし。ヒナがどんなに疲れていても手伝うことは絶対にありません。しかも大変な癇癪持ちで、少しでも食事の支度が遅れようものなら、ヒナを怒鳴りつけるのでした。

そんなある日のこと。誰に言うでもなくヒナは呟きました。「もう、こんな生活には耐えられません。どこか遠くに行って、一人でゆっくり休みたいわ」。それを聞いていたのが美しい虹です。ヒナを哀れみ、ヒナの足元から天上へと、大きな虹のアーチをかけてくれたのです。

「ああ、これで天上に登れる! そうだ、太陽に住むことにしよう」。そう言ってヒナは虹を登り始めました。ところが。高く登るにつれ太陽の熱が灼熱となり、とても耐えられません。ヒナは太陽に引っ越すことを諦め、虹を滑り降りて地上に戻ってきました。

やがて夜が更け、横暴な夫が帰宅。またもやヒナを怒鳴りつけました。その夜再び、ヒナはどうしても耐えられなくなり、思わず家を飛び出してしまいました。と、夜空に、大きな虹(ムーンボウ)が輝いているではありませんか! ヒナは大喜びし、今度は月を目指して虹を登り始めました。そして星たちに助けられながら、何とか月にたどり着くことができました。

プウ・マエリエリはカネオヘ湾に臨んでたつ

こうしてヒナは意地悪な夫から逃れ、今も月で平和に暮らしています。月の上でも得意のカパ作りを続けているようで、月にたなびく雲を見るとハワイの人々は、「あれはヒナの仕上げたカパ布だ」と噂するのでした。
 

レインボー滝のヒナ
ハワイ神話の中でヒナは、月で暮らす女神として描かれることもあれば、半神半人マウイの母としてハワイで暮らしている…とされることもあります。四大神の一人、クーの妻としての物語もあります。

以下の伝説は半神マウイの母であるヒナが、ハワイ島ヒロのワイルク河付近に住んでいた頃の物語です。

女神ヒナの暮らしていたレインボー滝

当時ヒナは、ワイルク河にあるレインボー滝後方の洞窟に住んでいました。洞窟はひんやりと涼しく、滝のカーテンによって隠されていたので、ヒナはそこで毎日、カパ布作りに励んでいました。

ところがある日。河岸で休んでいた美しいヒナに目をつけたのが、醜いモオのクナです。クナはレインボー滝の上流に住んでいたので、それからは頻繁にヒナにちょっかいを出すようになりました。

その日のワイルク河は、雨で水かさが増していました。それに乗じて、ヒナの洞窟を水攻めにしてやろうと画策したクナ。レインボー滝のすぐ下に大きな岩を投げ入れて河を塞き止め、水がヒナの洞窟に流れこむのを笑いながら見ていました。

「助けて~!」。そんな悲鳴を聞いて駆けつけたのが、ヒナの自慢の息子、マウイです。マウイはヒロ湾で釣りをしていましたが、大急ぎでレインボー滝へ。河を塞き止めていた巨石を見ると魔法の棍棒を振りおろし、真っ二つにくだきました。ようやく河の水は下方に流れ始め、ヒナの洞窟は水没を免れたのでした。

それを見て安心したマウイは、今度はクナを追跡。クナは河を下って必死に逃げましたが、ついにマウイに追いつかれ、退治されてしまいました。

女神ヒナを苦しめた邪悪なモオを退治する半神マウイ

孝行息子マウイのお陰でヒナは平穏な生活を取り戻し、レインボー滝に隠された洞窟で、安心してカパ作りを続けたということです。

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  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)がある。
    森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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