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所用時間5min
2016.12.27

魚類・貝類・甲殻類

魚類・貝類・甲殻類

海と環境

ハワイ諸島を取り囲む海には400種以上の魚がサンゴ礁と沿岸に生息します。サンゴ礁にはエンジェルフィッシュやチョウチョウウオが30種弱、ベラの仲間は50種以上が生息するなど、多様な種が見られます。また、近海にはブリやハマチ、さらにはサメなどの大型魚類が生息します。これらに加え、貝類、甲殻類などがあり、これらはハワイ諸島海域の食物連鎖を構成しています。

このうち、水深10m前後の海における固有率は20%弱なのに対し、30~70mでは50%、90m前後ではさらに高い固有率であることが判明しています。ハワイ諸島は陸上部だけでなく、海においてもきわめて固有率が高いと言えます。このような環境の実現には、海底に広がるサンゴ礁が大きな役割を果たしてきたと考えられています。

また、ザトウクジラやマッコウクジラ、各種のイルカ、ハワイモンクアザラシなどの海生哺乳類や、ウミガメなどの両生類についても、ハワイ諸島は豊かな自然を提供してきました。しかし、かつては乱獲で、今日では地球温暖化によって、海の環境は大きな影響をこうむっています。

ホノルル港近くに生息する魚たち

規制と保護

北西ハワイ諸島(パパハーナウモクアーケア)とその周辺海域は、世界遺産として全域が保護対象ですが、主要ハワイ諸島においても、下記の全11箇所が海洋生物保護区に指定されています。

オアフ島(ハナウマ湾、プープーケア、ワイキキ)、ハワイ島(ケアラケクア湾、ラパカヒ、旧コナ空港沿岸部、ワイアレア湾、ワイオーパエのタイドプール)、マウイ島 (ホノルア~モクレーイア、マネ レ~フロポエ、モロキニ環礁)

ハワイ州は、乱獲のせいで海洋資源が激減した過去を持ちます。そのため、今日では持続可能な環境保護を続けるため、漁業はもとよりレジャーとしての釣りに至るまで、細かな規制があります。ハワイ諸島周辺では、マグロ(アヒ)やシイラ(マヒマヒ)などの回遊魚が漁獲の多くを占めます。これらの魚については年間漁獲量が決められるなど、とくに強い規制が敷かれています。

オアフ島のカネオヘ湾の小島には海洋研究所があり、より優れた海洋保護のありかたを研究しています。

海岸に生息するカニ

サメと神話

ハワイの近海には、確認されているだけで15種類のサメが生息します。もっとも生息数が多いのはネムリブカで、日中はサンゴ礁の下や岩の陰で休みます。体長は約1.8メートルと、サメのなかでは比較的小型で穏和な性格です。

イタチザメやホオジロザメには注意が必要です。全長6m以上にもなる大型のサメで、ウミガメやモンクアザラシ、海鳥など、周囲にいるものには何でも襲いかかる性質があります。ただし、イタチザメがサンゴ礁の内側に入ってくるのはほとんど夜なので、遭遇する危険は少ないはずです。

サメはハワイ語ではマノと呼ばれ、大型のサメ一般を指します。性質の温厚なものはマノ・イア、どう猛なものはマノ・ハエと呼びわけました。サメは脅威ですが、伝統社会ではハンマーヘッドやネムリブカを食用としました。また、巨大な歯にはマナ(霊的な力)が宿るとされ、護符のように扱われたほか、武器(ニホ・オキ / レイ・オ・マノ)として、剣や棍棒に用いられました。また、皮はパフなど、打楽器の表皮として用いられました。

ネムリブカ(by Wikipedia)

神話

火の女神ペレには6人の兄弟と5人の姉妹がいました。サメの神である長兄のカモホアリイを船頭にして、兄弟姉妹は故郷のカヒキ(タヒチ)から、ハワイ諸島へ旅立ちました。ハワイ島のワイピオに住みついたカモホアリイは、ある日のこと、いつものようにサメに変身して泳いでいました。そのとき彼は、カレイという名の美しい女性を見そめます。カモホアリイはカレイとの間に子をもうけ、ナナウエと名づけました。息子の背中には穴があいていました。ナナウエの成長とともに、穴には鋭い歯が生えはじめ、やがてサメの口となりました。

やがてカモホアリイは家を捨てて旅に出ます。そのとき彼は妻に、息子には動物の肉を食べさせてはいけないと警告します。しかし、祖父はナナウエに肉を食べさせてしまいます。肉の味を覚えたナナウエはときどきサメに変身して村人を襲い、食べるようになりました。やがて正体がばれたナナウエは村人たちに捕まえられますが、殺される寸前に脱走します。次に住みついたマウイ島のハナでひっそりと暮らしはじめましたが、再び殺生を繰り返し、見つかってしまいます。しかしそのときもまた逃げのびることができました。しかし、次に訪れたモロカイ島のポニウ・オ・フアで半神ウナウナに捕まり、殺されて食べられてしまいました。

※トップ画像は、ハワイ州の魚であるフムフムヌクヌクアプアア(タスキモンガラ)です。

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

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