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2018.12.25

ハワイの歌10『リリウオカラニ女王の歌』

リリウオカラニ女王をたたえる歌

 カラカウア王病死後、8代国王に即位したのは妹のリリウオカラニ(Liliʻuokalani=兄のカラカウア王が妹のLydia Liliʻu Loloku Walania Kamakaʻehaを王位継承者として選んだときに命名)でした。リリウオカラニ女王在位期間は1891年から1893年の2年という短いものでした。ハワイの政界、経済界で力を持った米国人勢力の企てによるクーデターで、ハワイ王国は転覆させられてしまったのです。


リリウオカラニ

 

 ハワイ国王退位から24年後、1917年11月に79歳でこの世を去るまで、ホノルルで余生を過ごしたリリウには、優れた音楽家としての一面もありました。

 

国王は音楽家

 

そんな彼女をたたえるメレとしてもっとも知られているのが、古典フラ(カヒコ)・現代フラ(アウアナ)両方で踊られる『リリウ・エ Liliʻu Ē』です。

 

 

 

Liliʻu ē, noho nani mai
Kō kino ē, kiʻi milimili


Kō maka ē, nōweo nei
Kō pāpālina, e kukū ana

 

Kō poʻohiwi, ani peʻahi
Kō poli ē, nahenahe wale

 

Kō kuli ē, nuku moi ʻoe
Kō wāwae, pahu aʻe i luna

 

Haʻina ʻia mai ana ka puana
Liliʻu ē, noho nani mai

 

E ō ē Liliʻu i kou inoa
Ka hae kalaunu o Hawaiʻi nei

 

リリウよ、座る姿の美しきこと
あなたの全身は手入れが行き届き

 

あなたの瞳は輝いている
あなたの頬は際立って

 

あなたの肩は扇のごとく
あなたの胸は柔らかい

 

あなたの膝はモイの鼻のよう
あなたの足は持ち上げられる

 

この歌に伝えるのは
リリウ、座る姿の美しきこと

 

こたえてリリウ、あなたの名前に
ハワイの輝ける王冠

 

作詞:Antone Kaoʻo
訳詞:よしみだいすけ

 

 リリウオカラニをたたえるメレをもう一つ。
 『カウラナ・ナー・プア Kaulana Nā Pua』という歌があります。ハワイアン・ソングのなかでは非常に珍しいプロテスト・ソングです。19世紀後半、ハワイ王国が白人によって転覆され、米国に取り込まれようとしていたとき白人勢力に抵抗した、ハワイアンたちの思いを代弁している歌です。
「リリウオカラニをサポートするのだ、この地の権利を取り戻すために」と歌うこの曲からは、王国を失い、土地を奪われ、権利を奪われ、自分たちの土地でセカンド・クラスの人民として扱われるようになってしまった、当時のハワイ人民の叫び声が聞こえてくるようです。

 

Kaulana nā pua aʻo Hawaiʻi
Kūpaʻa ma hope o ka ʻāina
Hiki mai ka ʻelele o ka loko ʻino
Palapala ʻālunu me ka pākaha 

 

Pane mai Hawaiʻi moku o Keawe
Kōkua nāHono aʻo Piʻilani
Kākoʻo mai Kauaʻi o Mano
Paʻa pūme ke one Kākuhihewa

 

ʻAʻole aʻe kau i ka pūlima
Ma luna o ka pepa o ka ʻenemi
Hoʻohui ʻāina kūʻai hewa
I ka pono sivila aʻo ke kanaka

 

ʻAʻole mākou aʻe minamina
I ka puʻu kālā o ke aupuni
Ua lawa mākou i ka pōhaku
I ka ʻai kamahaʻo o ka ʻāina

 

Ma hope mākou o Liliʻulani
A loaʻa ʻēka pono o ka ʻāina
Haʻina ʻia mai ana ka puana
O Ka poʻe i aloha i ka ʻāina

 

ハワイの誇り高き人民たちよ
大地に忠誠を誓う者よ
邪悪な使者が来た
強奪の書類を持って

 

ケアヴェの島、ハワイ島が答える
ピイラニの湾(マウイ島)が助けにくる
マノのカウアイが援助の手を差し伸べる
カクヒヘヴァの浜辺も同様に

 

我らは署名などしない
敵が用意した書類になど
領土化という罪な取引で
売り渡されるハワイアンの権利

 

我らは惑わされない
政府が用意した金になど
我らは石でも満足しよう
大地の恵みと喰らえばいい

 

リリウオカラニをサポートするのだ
この地の権利を取り戻すために
歌に込めて伝えよう
大地とともに生きる我らのことを

 

歌詞:Ellen Wright Prendergast
訳詞:よしみだいすけ

  • よしみ Nui だいすけ
    Daisuke Yoshimi
    担当講師

    【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
    facebook: https://www.facebook.com/NuiDaisuke
    公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/

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