講座詳細

受講履歴を確認する
所用時間5min
2015.12.28

水辺の鳥(水田、河川、湖沼)

ここがポイント

ハワイの水辺(淡水)にはさまざまな水鳥を見かけます。そのなかから代表的なものを取り上げました。

水辺の鳥(水田、河川、湖沼)

 淡水を中心に生息する水鳥は、田畑や川岸、湖沼などに生息する虫などを食べるため、人間の生活圏に近いところに分布します。海辺の鳥と異なる点は、水辺の鳥の大半が人の手によって導入されたということです。明確な目的を持って導入されたものばかりではなく、個人的な都合や船に紛れて入りこんだものも含まれます。ハワイ諸島は大陸と異なり、独自の自然が展開されています。小さな土地に大量の外来種が侵入しつづけた結果、在来の自然はつねに強いインパクトを受けつつ今日に至ります。
 

コロア(和名:ハワイマガモ、英名:Hawaiian duck、学名:Anas wyvilliana)

 コロア(ハワイガモ)はハワイ諸島固有のカモです。体長45cmほど、翼を広げると50cmほどです。カモはどれもハワイ語でコロアと呼ばれるため、ハワイガモを区別するためにコロア・マオリとも呼ばれます。雌雄は良く似ていますが、クチバシが少し青みを帯びているのが雄で、先端が少し黄色に見えるのが雌です。コロアは生息数が減り続け、今日ではカウアイ島以外ではあまり見られません。

コロア

アラエ・ウラ(和名:バン、英名:Common Moorhen、学名:Gallinula chloropus)

 アラエ・ウラは古くからハワイ諸島に生息する鳥です。体長は35cmほど、翼を広げると50cmほどになります。水鳥でありながら水かきがないので、泳ぎはあまりうまくありません。ハワイの神話によれば、この鳥は火をおこすことができましたが、一度失敗をして顔に火傷をおったため、額が赤くなったとされます。アラエ・ケアとの違いは額からクチバシにかけての赤色で、アラエ・ケオケオより少し小型です。生息数は少なく絶滅危惧種に指定されています。

アラエ・ウラ

アラエ・ケア(和名:ハワイオオバン、英名:Hawaiian Coot、学名:Fulica alai americana)

 アラエ・ケア(アラエ・ケオケオとも呼ばれます)の体長は40cmほど、翼を広げると70cmほどになります。額からクチバシにかけて白色をしており、アラエ・ウラより少し大型です。わずかなら水かきがあり、アラエ・ウラより泳ぎは達者ですが、大きな脚を活かして、ハスなどに乗り移りながら水面を上から餌を獲ることが多いようです。この鳥もまた生息数が激減し、絶滅危惧種に指定されています。

アラエ・ケア(アラエ・ケオケオ)

アエオ(和名:クロエリセイタカシギ、英名:Black-necked Stilt、学名:Himantopus mexicanus)

 アエオ(クロエリセイタカシギ)はメキシコ原産のクロエリセイタカシギから派生した亜種で、ハワイ固有種です。体長は35cmほど、翼を広げると80cmほどになります。保護されるまで狩猟対象のひとつであったことや、生息域である湖沼が減ったことなどで減少し続けましたが、いまは穏やかに回復しています。とはいえ、絶滅危惧種としていまも保護の対象です。メキシコの原種と較べるとクビが頭部に黒い部分が多いこと、クチバシや尾の長い点が特徴です。一定距離に近づくと、飛び去る前に警戒音を発します。

アエオ

アウクウ(和名:ゴイサギ、英名:Night heron、学名:Nycticorax nycticorax)

 アウクウ(ゴイサギ)は日本でも見られる水鳥ですが、ハワイには人の手を介さずに定着しました。体長は60cmほど、翼を広げると110cmほどになります。サギ科の特徴としてエサを狙う際は長時間じっと動かず、好機を待ちます。そのため、写真撮影のしやすい鳥だと言えます。英名をナイト・ヘロン(夜のサギ)と言い、夜行性とされていますが、ハワイでは早朝からいつでも見られます。

アウクウ

アレクウ・カウ・ピピ(和名:アマサギ、英名:Cattle egret、学名:Bubulcus ibis)

 アマサギは今日のハワイでもっとも目につく鳥でしょう。体長は50cmほど、翼を広げると90cmほどになります。名の由来は、この鳥が牛のあとを追い、牛が掘り起こした土に生息する昆虫などを食べることによります。ショウジョウサギとも呼ばれますが、これは繁殖期に体の上半分をオレンジ色に染めるためです。ただし、ハワイのアマサギは頭頂部がわずかにオレンジ色になる程度でそれほど大きな変化はありません。

アレクウ・カウ・ピピ

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

関連講座
メンバー登録してアロハプログラムを楽しもう!

ハワイについて学ぶならまずはメンバー登録がおすすめ!