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所用時間5min
2014.05.18

プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園

ハワイ島コナの王族の居住地でもあった第一級の聖地

  • カメハメハ大王の祖先をはじめ23人の王族の遺骨を納めた霊廟があった聖地
     
  • コナ周辺の王族の居住地でもあった
     
  • 庶民にとっては「駆け込み寺」のような命乞いの場所でもあった


あまりの神聖さに、全島に及んだヘイアウ破壊令も免れた

ハワイ島コナ沿岸、ホナウナウ湾周辺に広がるプウホヌア・オ・ホナウナウは、2つの意味で大変、重要な史跡といえます。まずはこの地区が、宗教上の聖地だったため。2つ目は、コナ周辺の王族の居住地だったためです。一帯には16世紀以降の史跡が点在し、そのため1961年、国立歴史公園に指定されています。

 

そもそもプウホヌアとは、一般に、古代ハワイの避難所を意味します。当時の避難所とは、お年寄りや子供・女性など戦時中の非戦闘員や敗残兵、それにカプ(タブー。罪や社会の規律のこと)を犯した罪人達が、安全を求めて駆け込む場所でした。戦時であっても、避難所にさえ逃げこめば敵も手出しができず保護されましたし、罪人なら、カフナによる儀式を経て罪が許され社会に復帰することができたとか。昔はハワイのあちこちにプウホヌアがありましたが、全容が残されているのは、今ではプウホヌア・オ・ホナウナウだけとなっています。

 

もっともこの地にたどり着くこと自体が、昔は命がけでした。庶民は絶対に入れない王族居住地が隣接しているため、プウホヌア・オ・ホナウナウを目指すには、鮫の多いホナウナウ湾を泳いで渡るしかなかったそうです。カメハメハ大王の愛妃カアフマヌも大王と喧嘩をした後、海を泳いでこの地にたどり着いた…との逸話が残っています。 

敷地内にはヘイアウ(古代の神殿)跡が幾つも残され、中でも神聖視されていたのがハレ・オ・ケアヴェです。17世紀以降、王族の霊廟として使われ、19世紀初頭まで、23体の酋長の遺体が納められていました。うち1人はカメハメハ大王の曽祖父にあたる大酋長ケアヴェ。1819年、カメハメハ2世が原始宗教を否定しハワイ中にヘイアウ破壊令が出された時も、あまりの神聖さに、ハレ・オ・ケアヴェだけは破壊を免れたほどです。後に王族の遺体は全てほかに移管され、ヘイアウは風雨にさらされて朽ちましたが、今ではティキ像や藁拭きの小屋が復元され、昔のままの様子を知ることができます。

 

16の史跡&遺物をつなぐ小道も
避難所として機能したこの地域のすぐ隣には、やはり広大な王族の居住地が広がっていました。ヤシの林の中に少なくとも10戸以上の家屋があったほか、王族用の養魚池や、王族のカヌーだけが立ち入ることができた入り江などが点在していました。王族居住地と避難所を隔てているのは、高さ3メートル、長さ300メートルもの石垣です。石垣が作られたのは16世紀のこと。その後修復されながら、今もその姿をとどめています。

敷地内にはほかにも、見るべき遺物がたくさん。前述のヘイアウ跡や養魚池、王族のカヌー上陸場に加え、王族ケオウアのお気に入りのスポットで、よくケオウアが腰かけて海を眺めたという「ケオウアの岩」、カメハメハ大王と喧嘩したカアフマヌ女王が岩と地面との隙間に隠れたといわれる「カアフマヌの岩」など、全16か所のスポットに番号がふられ、1キロ足らずの小道がつないでいます。各史跡や見所を解説したパンフレットもビジターセンターに用意されているので、パンフレットを手にしながら、各自、自由に史跡を巡ることが可能です。


聖地であると同時に当時の政治の中心地だったプウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園を、ぜひゆっくり訪れてみましょう。

カアフマヌの岩


プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園
所在地:カイルア・コナから約38キロ。ケアラケクア湾の南
電話番号:808-328-2288または808-328-2326
見学時間:7時~日没15分前まで(ビジターセンターは8時30分~16時30分)
入場料:1人$3(15歳以下は無料)。車での来訪者は乗客数に関わらず1台$5(観光バスなど例外あり)。7日間有効
ホームページ:http://www.nps.gov/puho/index.htm

●「プウホヌア・オ・ホナウナウ国立歴史公園」に関連するコンテンツはこちらからもご覧いただけます。

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセントも務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)、「Hawaii 神秘の物語と楽園の絶景」(パイインターナショナル)がある。
    森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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