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2020.09.22

ルナリロ王が残した歌

ここがポイント

ルナリロがつくった歌として知られ、今も愛されている『ʻAlekoki』を紹介。

草花を集め紐でつないだり編んだりしてつくるのがレイ。レイを作る人をハク・レイと呼ぶ。
同様に、言葉を選び集めてメレ(うた)を紡ぐ人はハク・メレ。
ハワイでは、ハク・メレによって多くのメレが王族のために紡がれ、歌い踊られてきた。
王族自身がすぐれたハク・メレだった例も多い。
ハワイ王国の王族たちのなかから、後世に残るメレを紡いだ人とその歌の内容を紹介する。

ルナリロ王が残した歌

ハワイ王国第6代国王のルナリロも優れたハク・メレ(ソングライター)の一人だ。

ルナリロ王についてはこちら
ルナリロ

ルナリロ王をたたえる歌についてはこちら
ハワイの歌8 『ルナリロ王の歌』

ルナリロがつくった歌として広く知られ、今も愛されているのが『ʻAlekoki』。
明るい曲調でテンポよく踊られる現代フラ、アウアナの定番曲となっている。


もともとはチャントで、オリジナルは40行もある。
※2019年のメリー・モナークで踊られたカヒコの動画


カヒコ、アウアナ、どちらでも踊られるこの歌の背景として定説となっていることがある。
それは、若きプリンスがプリンセスとの成就しなかった恋を語り伝える内容だということ。
傷心のプリンスとは後の6代国王ルナリロで、相手のプリンセスはカメハメハ四世と五世の妹カマーマル。
ルナリロが38歳でハワイ国王になったのは1873年、『ʻAlekoki』が作られたのは1850年代、ルナリロが20代のころだと伝えられる。

歌の舞台はハワイ王族ゆかりのヌウアヌ。
具体的な地名とともに描かれる情景と心象風景から、この歌に込められた王様の若き日の苦い思い出を想像してみよう。


ʻAlekoki

ʻAʻole i piliwi ʻia
Kahi wai aʻo ʻAlekoki
Hoʻokohu ka ua i uka
Noho maila i Nuʻuanu

Anuanu makehewa au
Ke kali ʻana i laila
Kainō paha ua paʻa
Kou manaʻo i ʻaneʻi

I ʻō i ʻaneʻi au
Ka piʻina aʻo Maʻemaʻe
He ʻala onaona kou
Ka i hiki mai i ʻaneʻi

Ua malu nēia kino
Mamuli o ko leo
Kau nui aku ka manaʻo
Kahi wai aʻo Kapena

Ma waho aʻo Māmala
Hao mai nei ehuehu
Pulu au i ka hunakai
Kai heʻaheʻa i ka ʻili

E kilohi au i ka nani
Nā pua o Maunaʻala
Haʻina mai ka puana
Kahi wai aʻo ʻAlekoki

信じられない
アレコキの水辺
引き寄せる山の雨(山に降る雨そのもの)
存在するそこはヌウアヌ

寒くむなしい私
そこで待っている
思い違い、すっかり
あなたの気持ちはここかと

うろうろする私
マエマエ丘の上
魅惑の香りはあなたの
ここに届けられる

とりこになったこの体
あなたの声(言いつけ)により
強く残る思い
カペナの水辺

ママラ湾の外
荒れる風に舞う飛沫
私をびしょ濡れにする飛沫
海水まみれの肌

私が見る美しいもの
花々、マウナアラの
歌に伝える
その水辺はアレコキ


(訳:よしみだいすけ)
 
  • よしみ Nui だいすけ
    Daisuke Yoshimi
    担当講師

    【インタビュー動画あり】 1967年2月9日生まれ、神奈川県横須賀出身。1991 年よりハワイ在住。ハワイ大学卒業。フラ、ハワイ音楽に傾倒するハワイ・スペシャリストとして、ハワイを拠点に執筆・コーディネート活動を行う。ハワイのクムフラやミュージシャンとの親交も幅広い。フラダンサーとして、メリー・モナーク、キング・カメハメハの大会出場経験あり。著書に『たくさんのメレから集めた言葉たち』シリーズ、『LIVE ALOHA~アロハに生きるハワイアンの教え』がある。近年、フラダンサーを対象とした日本での講演・セミナー活動に力を入れている。
    facebook: https://www.facebook.com/NuiDaisuke
    公式HP: http://www.yoshimidaisuke.com/

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