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2017.06.05

ミロ

ミロ

ミロはハウやハイビスカスと同じアオイ科の植物です。カヌーのハル(船体)やポイ・ボールなど、材や繊維を利用するためにポリネシア各島から持ち込まれた伝統植物のひとつとして知られます。コアとともに重要な樹木として、ヘイアウなどに植えられることもあります。彼らの故郷のひとつであるタヒチではマラエ(神殿)に植える木として知られます。また、チャント(詠唱)を唱える人物にマナ(霊的な力)を与えるとも言われたり、住まいの周囲に植えるとアロハに包まれるとも言われます。

咲き始めの花

材には光沢があり、目が緻密なので木工品の素材として人気があります。また、床材や壁材、大型の家具材、あるいはウクレレの素材としても用いられます。ミロはコアと異なり、ほとんど臭いがないため、ウメケ・アイ(ポイを入れる容器)や、ウメケ・ラ・アウ(食料保存箱)として利用されました。若い果実の外皮に傷をつけると油絵の具に似た黄色の染料が採れます。種子は熟すと黒くなって木質化します。材の表面は粗く、アジア諸国では紙ヤスリや爪切りとして用いられました。ミロは基本的に無臭ですが、木と木をこすり合わせると、バラのような香りを放ちます。

ハート型の葉と若い実。傷を入れると黄色の樹液が出る

戦闘用カヌーの船体もこの木で作られました。樹皮はロープに使われることもありましたが、ハウやオロナほど上質ではありませんでした。幹は家具に、根は染料として用いられました。若い葉は食用になりましたが、薬用としては用いられませんでした。樹皮からはタンニンを採りました。ミロは日陰をつくる成長の早い木として海沿いの土地に植えられました。カメハメハ1世が住んだホノルルの住まいもミロの木に囲まれていたと言われます。

樹木の全体

ハワイ名:Milo
学名:Thespesia populnea / アオイ科サキシマハマボウ属
英名:Portia tree
和名:サキシマハマボウ,トウユウナ
原産地:熱帯アジア~ インド洋・太平洋諸島 / 伝統植物(外来種)
特徴:低木(5m)から高木(20m)までさまざまな大きさがあります。花のサイズは5~8cm。主に海岸に育ちますが、標高300mほどに渡り分布します。塩害に強く、根が海水に浸かるような場所でも育ちます。ハウに似た花をつけますが、筒型で開ききることはありません。葉はハート型、果実はカボチャをミニチュアにしたような形をしています。花の先端は、咲き始めは淡黄色ですが、次第に紫色となり、夕方か翌朝に落下します。ココヤシやマングローブのように海流に乗って他の島に漂着し、そこで発芽します。高所や日射の少ない場所では育ちません。和名をサキシマハマボウと言いますが、沖縄県に自生するサキシマハマボウとは開花の形状や実の形状などが少し異なります。

葉と実

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
    フェイスブック・サイト https://www.facebook.com/kondo.sumio
     

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