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2020.08.28

植物のレイ

ここがポイント

ハワイの文化に根付いた「レイ」という工芸と習慣

レイは数千年も前からポリネシアの島々では習慣として使われていました。またそのルーツはアジアからという話もあります。ポリネシアからの習慣がハワイへと入り、ハワイアンの間では習慣となり、現在へ続いています。レイにはいくつもの意味がありますが主なものが神様への捧げ物、友情や愛情のしるしとして交換、またお祝いを称えての印の品として使われます。
ハワイに入って来てからのレイは、ただの花の輪だけではなく、もっと意味の深いものになっていきました。色々な感情を伝える手段、社会的な位置を誇示する手段、人生の中の重要なイベントを祝う手段など、レイの意味も深く、社会現象にまで発達しました。植物のレイもバラエティが多く、社会的に使われる意味も浸透して来ました。



1874年にカラカウア王がハワイ王国の第7代の王に就任しました。この時、長い間禁止していたハワイの文化である「フラ」を復活させました。同時にフラにはレイが欠かせないアイテムでした。植物のレイを推奨し、王の訪問者へは植物のレイを首にかけ、接待しました。この時よりロイヤルファミリーは毎日の生活にレイを欠かさずに使うようになりました。レイを作ること、レイをプレゼントすること、レイを付けることなどが習慣となっていきました。レイ作りの名人は一目置かれ、名誉ある名人となりました。


(Photo by Hawaii State Archive)

1893年のハワイ王国崩壊前には、王家の人間だけが付けることが許されていた植物のレイとして、現在ハワイ州の木と認可されているククイナッツのレイがありました。マイレの葉のレイは、戦場での平和の印として使われたと言われています。現在ではウェディングの時に花嫁と花婿の絆を結ぶという意味を表し、花婿はマイレのレイをかけて結婚式に臨むことが習慣となっています。





192851日からハワイでは「レイデイ」が定められており、各島でレイのお祭りが催されます。レイの習慣を推奨したこのイベントは現在でも開催しており、カピオラニ公園などでは毎年多くのレイを見ることができます。コンテストもあり、優勝者は栄誉と賞金がもらえます。

第二次世界大戦以前は、庭になっている花や植物を、家族などで繋げて作るレイなどが多かったようですが、それ以後はホノルルのダウンタウンのマウナケア・ストリートにはレイを売る店が並びました。今でもその店のいくつかが残っており、いつでもレイが購入できます。また昔は船でしか来られなかったハワイでも、港では船から降りてくるお客さんのために、レイを贈りました。1959年以降は飛行機での観光客が増えたため、空港にはレイスタンドも登場しました。ウエルカムの気持ちでお客さんを迎えるというのは昔からの習慣となっています。

レイにまつわる言い伝えがあります。船を見送る際には、その船がダイアモンドヘッドを過ぎたところで、海にレイを投げる。そのレイが岸に戻って来たら、またそのお客さんたちはハワイに戻ってくることができるというものです。

また、レイには植物の種類により色々な意味があります。
代表的なものでは、ハラの植物から作るレイは古い事をなくし、新しい事を迎えるという意味があり、お正月などに使われます。ただ政治家などには縁起が悪いので贈らない方がいいといいます。
オアフ島の花であるイリマは花びらがとても小さく繊細です。これをレイにするには数千枚の花びらが必要です。昔から色もその繊細な花からも、王室専用のレイということで、王族の間ではこのレイが多く使われたということです。



そしてレイにまつわるエチケットもいくつかあります。
妊婦には輪になっているレイを贈ってはいけません。胎児が臍の緒で首を絞められたりしたらいけないからです。よって、オープンで輪になっていないレイを贈る習慣があります。また、シガーフラワーレイは男性用であり、オハイアリイレイは女性用であると言われています。
王が存在したときは、一般人は王様に対して、王の頭より手を上にあげてはいけないという規則がありました。レイを贈る際にはきちんと挨拶をしてからか、王の側近などを通して王に捧げたと言われています。作るのが難しいものや、集めるのに苦労した植物などのレイは王様などの高貴な人のみに使われたということです。
使い終わったレイは自然に戻すのがいいと言われています。

今では王家などに関係なく、ウェルカムや友情、愛情の証として贈られるレイ。気持ちよく受け取るのも大切な習慣です。

 
補足事項

資料:
A Pocket Guide to The Hawaiian Lei    by Ronn Ronck    Mutual Publishing

  • 藤原 小百合 アン
    Anne Sayuri Fujiwara
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    アーミッシュキルトの盛んなアメリカ・オハイオ州の高校に留学中にアメリカン・パッチワークを習得。メリーランド大学学士号取得。その後ハワイに移住し、マウイ島のハナ・マウイ・ホテルで出会ったハワイアンキルトのベッドカバーに一目惚れをし、ハワイアンキルトを始める。2001年9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロ事件の犠牲者とその家族への追悼キルト、『千羽鶴 フレンドシップキルト』を全国のキルターとともに完成させ、2009年9月、9.11メモリアルに寄贈。2011年7月、ハワイで毎年開催される「キルトハワイ」において、オリジナルデザインの「マノアの森」キルトがグランプリ受賞。ハワイ、日本でのレッスンなど、伝統的なハワイアンキルトを広げるため、日々奔走中。15年以上、パシフィックリゾートの「キルトパラダイス」(http://www.holoholo.world/kawaraban/category/quilt/)を連載中。 日本でハワイアンキルト本を数冊出版。2006年よりホノルルフェスティバルにおける伝統的ハワイアンキルト展を毎年開催。2013年よりイオラニ宮殿の日本語ドーセントのボランティアを始め、現在ハワイ在住31年目。

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