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2017.12.22

マカダミアナッツ

マカダミアは1857年にクイーンズランド州の東海岸で発見されました。名前の由来は発見者である植物学者のフォン・ミューラーが、友人の化学者であるジョン・マカダムの名を取ってつけたとされますが、他の説もあります。マカダミアナッツにはコレステロール分がなく、不飽和脂肪酸という体に良い栄養素を83%も含みます。そこでマカダミアを農産物にするための最初の農園が1880年代にオーストラリアにつくられました。

ハワイには1882年と1885年にオーストラリアより導入されました。続いて1892年に6万本もの苗がホノルルに持ち込まれ、これが今日のハワイ産マカダミアの原木となりました。オーストラリアと同じく、1890年代から食用として生産されはじめます。しかし、当時の殻はとても硬く、品種改良の必要性が訴えられました。1921年にホノルル近郊のハワイ大学の研究施設で、商業生産を目指した改良が開始されました。原種よりも甘味があり、脂肪分の多いナッツへと改良を行ったのです。この研究は20年に及び、ついに商品化に成功しました。原産地こそオーストラリアですが、ハワイのマカダミアは独自のナッツと言えます。

枝からぶら下がるマカダミアナッツ

研究が奨励された背景には、当時、コーヒー栽培の収益が思うように上がらなかったという事情がありました。しかし、偶然にも研究と歩調を合わせるようにコーヒーの収益性は上がり、マカダミアの農園主は苦境に陥りました。そこでハワイ州政府は1927年に栽培奨励と称し、マカダミア農園の従事者に免税措置を取りました。5年間という時限立法でしたが、その結果、作付け面積は大きく伸び、1959年には1417haにまで広がって、今日のマカダミアナッツ産業の基盤を確立させたのでした。1984年には世界の生産量の8割をハワイが占めました。今日では原産地であるオーストラリアでも生産量が増え、ハワイのシェアは低下していますが、生産量は今も世界一です。

ハワイ島ではコナとマウカ、マウイ島ではハレアカラ山麓、カウアイ島では南岸などに大農園があります。世界の生産量はおよそ2万トンで、その大半が今日でもハワイで生産されています。ハワイで栽培される代表的品種には、ケアウホウ、イカイカ、カケア、カウ、ケアアウなどがあります。ハワイのマカダミアナッツはナッツそのもののほか、チョコレート菓子やオイルなどに加工されたものが販売されています。

白い花穂

ナッツには3品種あります。ひとつは光殻種で、白い花を咲かせ、食用として用いられます。2つ目は粗殻種で、花は濃いピンク、実は楕円形をしており、食用あるいは台木として用いられます。3つ目は在来種で、実は小さくて硬く、商品価値は劣ります。いずれにしてもマカダミアナッツは生産量が少なく、高価に取り引きされるため、近年はコーヒー農園での間作も行われるようになりました。

1950年代、マウイ島に住む日系人のM.タキタニがチョコレートとマカダミアナッツをミックスすることを考案しました。なかでもマカダミアナッツをミルクチョコレートに入れたものは大人気となります。タキタニは60年代に本拠地をオアフに移しますが、これが今日、もっとも流通量の多いハワイアンホスト社の誕生です。ハワイアンホストのチョコレートはホノルルでも爆発的な人気を呼び、70年代には、ハワイ土産の定番となり、今日に至ります。

マカダミアナッツは脂肪分が多いので砕いて火をつけると、ククイ・ナッツのように応急の照明として利用可能です。オイルは上質で健康的なオイルとして人気があります。煎るとコーヒーの代用となり、アーモンド・コーヒーと呼ばれます。ナッツを潰してナッツバターとして用いることもできます。これはピーナッツバターに似ています。マカダミアナッツはコレステロールがなく、味が良いのでファンは多いですが、ナッツ1粒のカロリーは食パン1枚半に匹敵する高カロリーでもあります。

ひだのある特徴的な葉

植物情報

ハワイ名:Makakema,makeima,makekemia
学名  :Macadamia integrifolia
英名  :Macadamia,Queensland Nut
和名  :クイーンズランドナットノキ
原産地 :オーストラリア東部
特徴:低木、淡黄色の小さな花を房状につける。マカダミアはヤマモガシ科の植物で、園芸植物として人気のあるプロテアと同じ仲間だ。一般にはマカダミア、もしくはマカダミアナットノキと呼ばれる。樹高は6~15mで、長さ12~15cmほどの淡黄色または濃ピンクの花をつける。葉は細長い波状で密生する。成長して実をつけるまでには8年ほどかかる。収穫期には直径2.5cmほどの丸い殻を持った実が自然落下し、林床には無数の実が散らばる。硬い殻のなかには白色の仁があり、これが食用となる。

 

 

※トップ画像は殻のついたナッツです。

  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

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