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所用時間5min
2015.05.15

元年者と官約移民

砂糖農園に入植するために多くの日本人がハワイに移住しました

  • 幕末の混乱期から明治時代になり始まった、砂糖農園への入植のための日本からハワイへの移民は、その人数を延ばし続け、その後のハワイの歴史に大きく関わっていきます。


元年者と官約移民

漂流民ではなく、自分の意思でハワイに渡った最初の日本人の一団は、後に「元年者」と呼ばれるようになる、明治元年(1868年)の渡航者でした。その目的はハワイの砂糖農園への入植でした。
それより8年前の1860年(万延元年)日米修好通商条約批准のためにサンフランシスコに向かう日本の使節団を乗せた米海軍のポーハタン号がホノルルに寄港。カメハメハ四世に謁見しています。ポーハタン号と共に、日本初のパシフィコ海(太平洋)横断を果たした咸臨丸はサンフランシスコに直行し、その帰路、薪水の補給のためにホノルル港に寄港し、5月25日に使節団副使の木村摂津守喜毅、勝海舟等が四世とエマ王妃に改めて謁見をしています。通訳はジョン万次郎が勤めました。その際、四世より、日本からハワイへの移民の要請がありました。ハワイ王国は、砂糖産業の拡大を受け、農園での労働力確保のために外国からの移民の受入れを考慮する時期に差し掛かっていたのでした。


そして、カメハメハ五世の下でハワイ王国の在日本総領事に任命された米国人、ユージン ヴァン リードにより横浜で移民の募集が行われ、150名ほどが英国船サイオト (Scioto) 号で横浜を発ち、1868年6月にホノルルに到着しました。年号が慶応から明治に移行する幕末の混乱と戊辰戦争の中での出来事で、明治政府は、この移民を正式に認めることはありませんでした。募集時の仕事の内容説明が正確でなかったり、砂糖農園での労働には向かない人も多く含まれており、ハワイに着いたものの翌年40名ほどが帰国し、約百名の人がハワイに残りました。又、その多くも後に米本土に転住しています。


その後、明治政府は移民には消極的でしたが、1885年(明治18年)に「官約移民」と呼ばれる、明治政府が正式に認めた移民が開始されます。1881年(明治14年)、ハワイ王国七代目のカラカウア王が、私的な旅ながら、移民の調査を目的に世界一周の旅に出ました。サンフランシスコで船を乗換え、最初に着いた東洋の地が横浜でした。東京で明治天皇に謁見したカラカウア王は、日本からハワイへの移民を申し出て、その4年後に官約移民が開始され、2月にはシティー オブ トウキョウ号で945名ほどの移民がホノルルに到着し、1894年までに、両政府間の契約で約2万9千人余りの日本人がハワイに出稼ぎに行き、それらの人々はオアフ島ばかりでなく、各島の砂糖農園に入植していきました。当初は、3年契約で、農地で働いて財を成したら帰国しようと考えていた人達が多かったようですが、現実は極めて厳しく、そのまま定住を余儀なくされる人も出てきました。

咸臨丸の一行が謁見したカメハメハ四世(ビショップ博物館の展示物より)

検疫所前で撮られた日本人移民の写真(ビショップ博物館の展示物より、 Dr. Mansarrat 撮影)

そして、ハワイの砂糖産業が隆盛を極める中、王国に代わりハワイが共和国として存続した5年間は「私約移民」として、又、1900年にハワイが米国に併合されてから1907年までは米国の法律適用の下で「自由移民」として、それ以降1924年(大正13年)に米国で所謂排日移民法が制定されるまでは「呼寄せ移民」として、日本からの移民は益々増え続け、合計20万人以上がハワイに行ったことになります。
1918年(大正7年)の日本国総領事館の調査ではハワイにおける日系人口は10万人を超え、1924年(大正13年)の砂糖農園における日系人口は全体の70%にまでに達しています。

1898年の日本からの移民(ビショップ博物館の展示物より)

付帯的な情報・発展情報

ハワイでの移民の歴史はハワイ日本文化センター(JCCH)の展示で、より深く知ることが出来ます。
 


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  • 浅沼 正和
    Masakazu Asanuma
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、現在に至る。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。

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