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カウナオア
カウナオアには海岸に生育するカウナオアと、海岸と内陸部の両方に生育するカウナオア・ペフの2種があります。いずれも遠目にパスタのように何層にも重なり合ったオレンジ色の茎が目立ちます。
カウナオア
カウナオアの花
よく見ないと見落としそうな小さな半透明の白い花をつけます。ラナイ島やオアフ島、ハワイ島などではポーフエフエに絡みついているのを目にします。
カウナオアはラナイ島の島花としてレイなどに用いられます。ハワイでは、風邪を引いて痰がからむときや、体力を消耗した産婦に煎じて飲ませました。今日でも痰の効能薬として利用されています。
小さなツリガネ状の花には、わずかですが、甘い芳香があります。発芽すると地面のなかに根をはり、茎を伸ばしながら寄生する植物を探します。見つけると、針金のように細い黄色の茎を伸ばして相手にからみついて寄生します。寄生を開始すると吸盤が出現し、宿り主の養分を吸い取りながら成長します。同時に、地中の根は寄生を開始するとともに枯れてしまいます。葉はほとんど退化しているため、光合成は行いません。
パスタに似た茎
植物情報
ハワイ名:Kauna'oa, Kauna'oa kahakai, Pōlolo
学名:Cuscuta sandwichiana ヒルガオ科ネナシカズラ属
英名:Dodder, Kaunaoa Vine
和名:なし
原産地:カウアイ島とカホオラヴェ島を除くハワイ諸島 / 固有種(Endemic)
特徴:つる性寄生植物。白色に近いクリーム色の花は0.3~0.5cm。海岸を中心に、海抜300mまで分布する。
カウナオア・ペフ
カウナオア・ペフ
海のカウナオアの茎がオレンジ色であるのに対し、山のカウナオアは緑色をした部分が多く、花が全開しない点が異なります。主に海岸近くに分布しますが、内陸部でも生育します。
ハワイ名:Kauna'oa pehu, Kauna'oa mālolo, Māloa, Pōlolo
学名:Cassytha filiformis クスノキ科スナヅル属
英名:Devil's Gut
和名:なし
原産地:カホオラヴェ島を除くハワイ諸島と、その他の熱帯地域 / 固有種(Indigenous)
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近藤 純夫Sumio Kondo担当講師
エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
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