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ラウアエ
ラウアエはハワイ固有のシダではありませんが、今日、諸島各地でよく見られます。外観だけでなく、マイレのようなバニラに似た甘い香りを漂わせるので庭の植栽としても人気があります。マイレと同じく、茎の部分を切ったり潰すと香りが漂いますが、群落のなかを歩くだけでも甘い香りに包まれます。そのためレイの素材として人気があります。また、かつてはカパ(タパ)の香りづけとして用いられました。このような性質に由来するのかどうか不明ですが、ラウアエには「かわいい」とか「最愛の」という意味があります。
胞子嚢
ラウアエがハワイに入って来たのは1922年のことで、オアフ島とマウイ島に導入されました。ハワイで最初の観賞用のシダとされます。しかし、記録にはありませんが、それ以前に持ち込まれた可能性もあります。
草丈は1mに満たないため、荒れ地のグランドカバーとして用います。カットした葉は1週間はフレッシュな状態を保つため、フラワーアレンジメントの素材としても人気があります。
胞子嚢の詳細
ラウアエの栽培はあまり手がかかりません。強風にも塩害にも強く、また、土壌を選びません。たっぷりの日差しがあれば育ちます。ただし、アマウのように日差しを避けるものがないようなところではなく、それなりの日陰は必要です。
胞子嚢(ほうしのう)は葉の両面に独特の模様を作ります。葉裏には、小皿に魚卵を盛ったような胞子を確認できます。葉は深く切れ込んだ様子がウル(ブレッドフルーツ)の葉によく似ています。
ラウアエの群落
植物情報
ハワイ名:Laua'e
学名:Microsorium scolopendria, Phymatosorus grossus
ウラボシ科ヌカボシクリハラン属
英名:Lauae Fern, Wart Fern, Maile-Scented Fern, Musk Fern,
和名:オキナワウラボシ
原産地:沖縄~東南アジア~オーストラリア~大平洋諸島~アフリカの熱帯地域。ハワイ諸島に野生種はない。
特徴:常緑のシダ。葉身50~90cm。樹上や岩に着生することもある。新しいうちは葉に胞子は付かない。Laua'e haole(Phymatosorus aureum)は別種のシダ。
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近藤 純夫Sumio Kondo担当講師
エッセイスト、翻訳家、写真家。ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。ハワイ州観光局アロハプログラム・キュレーター。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』『新ハワイアンガーデン』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『フラの本』(講談社)、『Dear Maui マウイを巡る12の物語』(共著/ Little Gift Books)、訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)など。
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