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所用時間5min
2014.04.16

ビショップ ミュージアム(歴史)

ここがポイント

バニース パウアヒ ビショップ夫人の没後、夫君により建てられたのが、ビショップ ミュージアムです。パウアヒはカメハメハ系最後の末裔として、土地や財産、貴重な文化的遺産を所有していたこと、そして、生前に二人で欧州や米合衆国を歴訪し、博物館の有用性を理解していたことが、この博物館の建設に繋がりました。

ポリネシアとハワイの文化と歴史を学ぶには、こちらへ。

ビショップ ミュージアム本館


博物館の正式名は、バニース パウアヒ ビショップ ミュージアム “Bernice Pauahi Bishop Museum” と云います。

パウアヒはカメハメハ大王の曾孫で、大王の孫にあたる四世や五世同様、宣教師の教育を受け、ハワイ語と英語両方を解する女性でした。ニューヨーク州グレンズフォールズ生まれのチャールズ リード ビショップと、王家の子弟が通うロイヤルスクールで知り合い、結婚。そして、パウアヒが52歳で亡くなった5年後の1889年(明治22年)に夫君によって建てられたのが、ビショップ ミュージアムです。ビショップ夫人自身、生前に多くのハワイ文化のコレクションを持っていましたが、それにも増して、カメハメハの子孫の一人であるルース ケエリコラニ王妃など王族の末裔の他界により、親族であるパウアヒ ビショップ夫人が引き継いだ遺産が数多く有ったことが、ビショップ氏の博物館を造るに至る一つの要因にもなりました。

ビショップ夫妻の像と、夫妻の館「ハレアカラ」の絵
ビショップ ミュージアムの展示物より
 

本館最上部に博物館の名とともに完成した年「1889」と記されている
 

この地には、先ず1886年にハワイアン子弟の為の学校が創られ、そのキャンパスに博物館が建設されました。学校は、その後、博物館の北側、カパラマ ハイツの丘に校舎を移し、カメハメハ スクールとして、現在もハワイアンの血の流れる子供達の通う学校として、ハワイにはなくてはならない教育機関の一つとなっていますが、今でも博物館の敷地内に当時の校舎が一つ残されています。

博物館前に整列した、当時のカメハメハ校男子生徒

ビショップ ミュージアムには、ハワイとポリネシアの文化や歴史を伝えるいくつかの展示場がありますが、ハワイアンホールではネイティヴ ハワイアンの人々の文化と歴史、神話に纏わる貴重な品々が展示されています。

 

プラネタリウムも重要な教育施設になっています。夜空に輝く星座を説明するだけでなく、ポリネシアの人々が天空の動きを見ながら太平洋の大海原を航海し、星や月、太陽の出入りの角度によって緯度を知りえた、ポリネシア天文航法の話なども勉強出来ます。北緯二十度付近に在るハワイの島々の頭上を通る星は「ホクレア」と呼ばれるオレンジ色に輝く牛飼い座の一等星アルクトゥールスです。ホクレアが、その南に白く光るおとめ座の一等星スピカと、横に並んで同じ時間に東の水平線から出てくるのが見えれば、双胴船のカヌーで大海原を渡ってきたポリネシア人は、ハワイの島々が在る付近の緯度に到達したことが分かったのです。

 

サイエンス アドベンチャー センターと名付けられた展示館では、火山の生成やハワイの島々の形成、津波の発生と影響、ハワイ固有種と他の島々からもたらされた動植物の比較などが展示されています。

 

本館中央の2階と3階にあるパシフィックホールは、ポリネシアばかりでなく、ミクロネシアとメラネシアを含む太平洋全体の島々に共通する貴重な展示物が在る他、ハワイアンも含むオーストロネシア語族の言葉を話す人々が、アジアからどのように太平洋の島々に移り住んできたのかが理解出来る展示も見られます。現在の歴史言語学者の研究では、オーストロネシア諸語の一番古い形は、台灣の原住民の言葉ではないかと考えられています。ネイティヴ ハワイアンのルーツを探る考古学の研究も、現在着実に進行中です。

新装成ったパシフィックホール開所式の様子

さて、本館の入口に、博物館の創始者とも云えるバニース パウアヒ ビショップ夫人を称えるハワイアン チャント(詠唱)が英語訳と共に紹介されています。歌詞を読んでいくと博物館が建つ周辺が、昔から「カイヴィウラ」と呼ばれていたことが分ります。ハワイ語では「イヴィ」は「骨」、「ウラ」は「赤」を意味しますので、「赤い骨」と云う地名になります。その昔、合戦の行なわれた場所でした。

パウアヒ王妃を称えるハワイアンチャントと、その英訳"Mele Inoa no Pauahi"

ハワイに限らず、ポリネシア、そして太平洋全体の文化や歴史を幅広く学習出来る格好の場所が、ビショップ ミュージアムです。


ビショップ ミュージアム

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  • 浅沼 正和
    Masakazu Asanuma
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、現在に至る。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。

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