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2015.03.11

神話上の存在、メネフネ&モオ

メネフネは小人族、モオは大とかげ
ハワイの神話・伝説にしばしば登場する

  • メネフネは小人族、妖精
  • モオは大とかげ
  • 多くの神話に登場する、ハワイではよく知られた存在

小人族メネフネとは?
メネフネはハワイ神話上の小人族。いたずら好きで山奥や森の奥深くに住み、身の丈60センチほど。ガッチリとした身体つきで、日本のコロボックルやヨーロッパのエルフ、ノームと似た存在として語られる存在です。手先が器用かつ働き者で、中でも石の建造物建築が得意。ハワイ中にメネフネが造ったとされるヘイアウ(神殿)跡や養魚池が残されています
 

特にカウアイ島はメネフネ伝説の本拠地。キキアオラ水路やポリアフヘイアウなど、メネフネ遺跡が多いことで知られます。ついでオアフ島に遺跡が多いですが、実にハワイ諸島全体に、メネフネ伝説が残っています。

カウアイ島ワイルアにあるポリアフヘイアウ。メネフネが一夜にして築いたとされる

神話上、メネフネはハワイ外からやって来たとされ、ある物語によると神がハワイから「思いきり腕を伸ばして某島に手を置いた。その上を歩いてメネフネがオアフ島にやって来た」とか。神話・伝説の世界に限らず、ハワイでは「メネフネ=ハワイの先住民」説など、その起源についての議論も活発です。
 

メネフネの起源に関する第一の説は、マルケサスからの移民の子孫がメネフネだ、とするもの。ハワイへの移住については、まず紀元300年~500年頃、タヒチ北東のマルケサス諸島から小規模な移民があったとされています。次いでその500年後、今度はタヒチからよく組織された大規模な移民がありました。タヒチからやってきたポリネシア人は体格がよく、食糧に乏しく小柄だったマルケサス移民の子孫たちを、アッという間に征服。奴隷化した…とされています。
 

タヒチからポリネシア人がやって来た時、浜辺の木々の間を走り回る小さな人々がいたと伝えられていること。島のあちこちに、石造りのヘイアウなど建造物がすでに建っていたこと。それらを判断すると、「メネフネ=マルケサスからの移民の子孫」説は的をついたもののように見えます。

オアフ島マノアにあるメネフネ遺跡、クカオオヘイアウ

第二の説は、「メネフネ=小柄な家系の人々」説。ある村の人々が比較的、小柄だったりなど、一定の一族をメネフネと呼んだことも考えられます。事実、1914年に行われた国勢調査で、カウアイ島ワイメアの某村の人々が自分達をメネフネ族として申請したとの報告も。
 

これと関連する説が、「メネフネ=未知の人類」説です。 たとえば2003年、インドネシア・フローレス島からは身長1メートルの古人類の化石が出土しており、ホモ・フロレシエンシスと名づけられています。インドネシアはポリネシア民族の移動経路の一部。ホモ・フロレシエンシスは私達、ホモ・サピエンスと共存していた期間が大変長かったこともあり、突飛ではありますが、ユニークな説とはいえるでしょう。
 

メネフネは100%、神話上の存在なのか、それとも? 真相は「神のみぞ知る」ですが、いずれにしろメネフネ伝説はハワイ神話上のミステリーを代表するものの一つです。
 

大とかげ、モオ
モオは、長さ10メートルにもなるハワイ神話上の大とかげ川や養魚池、滝壺、湿地、泉など淡水に住み、自分の陣地への侵入者を襲う、恐ろしい存在として多くの神話で描かれています。
 

たとえばオアフ島クアロア沖に浮かぶモコリイ島(通称チャイナマンズハット)は、女神ヒイアカに戦いを挑んだモオの尻尾とか。ヒイアカに倒され切断されたモオの尻尾が島になり、胴体は近くの山(コオラウ山脈の一部)になったそうです。 

大とかげモオの尻尾が島になったという、オアフ島
クアロア沖のモコリイ島(チャイナマンズハット)

ですが同じモオでも、キハワヒネと呼ばれるマウイ島のモオなど、各島の王族に崇拝されるモオもいました。キハワヒネは女神とみなされて神像も作られ、あのカメハメハ大王もキハワヒネの崇拝者でした。
 

ほかに神の住居や楽園の入口を守るモオなど、神に仕えるモオの伝説も多々あります。たとえば金色の雲の女神ケアロメレメレの神話では、キハワヒネと同じく高位のモオが登場。神々の姉妹にあたる位の高いモオイナネアは、この物語の中で、まるで神々の子供達の祖母か母代わりのような存在でした。
 

同様に陣地というより、その土地全体と住人を守り、産土神的な存在だったモオは各地に存在したよう。オアフ島エバで浜に貝やエビをもたらし、飢えから人々を救ったモオはカネクアアナと呼ばれました。
 

またオアフ島ハレイヴァにもラニワヒネという有名なモオがおり、地域に豊穣と平和をもたらしてきたそうです。ラニワヒネはウコアという養魚池に住んでいますが、同様に、ハワイでは各地の淡水を、モオが守っていると信じられてきました。

モオは一般に女性とされ、美しい女性の姿で人前に現れることもあります。ある物語では泉のほとりに髪をなびかせた女性が座っており、実はそれはモオの化身で、ハワイアン男性が恋に落ちたとか。実際、モオを大とかげではなくマーメイド、と表現するハワイ文化の専門家もいるほどです。

小さなゲコも大とかげモオの化身とされる

このように大とかげに始まり、ドラゴン、神、水の精、マーメイドとしても神話・伝説の中で形容されてきたモオ。恐ろしいドラゴンとの印象が強いですが、神話を読みこんでいくと、実にさまざまな性質のモオがいたことがわかります。

 

  • 森出 じゅん
    Jun Moride
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    オアフ島ホノルル在住。横浜出身。青山学院大学法学部卒業後、新聞・雑誌・広告のライターとして活動。1990年、ハワイ移住。フリーランスのジャーナリストとして活動する傍ら、ハワイの文化や歴史、神話・伝説、民間伝承を研究中。単に「美しいハワイ」にとどまらないハワイの奥深い魅力、真の姿を日本に発信すべく、執筆を続ける。イオラニ宮殿日本語ドーセント(水曜日担当)も務める。著書に「ミステリアスハワイ」(ソニー・マガジンズ刊)、「ハワイの不思議なお話」(文踊社刊)、「やさしくひも解くハワイ神話」(フィルムアート社刊)がある。
    森出じゅんのハワイ不思議生活 http://blog.goo.ne.jp/moridealex

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