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2020.05.26

ハワイ語のアルファベットー書き言葉としてのハワイ語

ハワイ語表記の文字についてお話しする前に少しだけハワイの歴史の背景を覗いてみたいと思います。

*口頭言語のハワイ語と外国人船乗り達
古代ハワイではハワイ語は口頭言語として話し言葉しか持たない言語でした。

1778年に英国人のキャプテンクックがハワイ諸島を発見して以来、西洋文明がハワイに入ってくることになります。当時ネイティブハワイアンと交流したキャプテンクックは彼らの言語が口語のみであることに気づきます。



のちにハワイを統一するカメハメハ大王は当時二十歳前後で、その後来島したバンクーバー船長からは領地の統治の仕方を学んだり、英国人のジョンヤングからは大砲の使い方などを学び、カメハメハ大王のハワイ諸島統一の大きな役割を担っていたとも言えます。

つまりカメハメハ大王はこれらの諸外国から来た人々と意思の疎通ができていたということで、この時代にやって来た外国人たちもハワイ語を様々な方法で筆記してはいたのです。しかしハワイ語の体系的な研究がなされていなかったので、文字の表現には様々なバリエーションがありました。



*ハワイ初のクリスチャン
1792年生まれのヘンリー·オプカハイアはアメリカに渡りキリスト教を学びクリスチャンとなります。1814年には同年代のサミュエル·ラグラスと共にハワイ語のアルファベット表記を考案しています。

この頃合衆国のニューイングランドを中心に信仰覚醒運動が盛んになりつつあり、海外伝道の機運が高まる中、1820年にマサチューセッツからの宣教師一団がハワイへとやって来ますが、この背景にはヘンリーの存在が大きかったと言っても過言ではないでしょう。



1820年宣教師達の来島
1819年にハワイのカプシステムが崩壊した翌年、キリスト教布教の目的でやって来た宣教師達。1848年までに12回の宣教師団が派遣されたと言われています。彼らの多くは、すでにタヒチで活動を展開していたロンドン伝道協会の経験から多くを学び、ハワイ語に近い言語であるタヒチ語にも精通していた彼らから協力を得ていました。



*使用文字の統一化
多くの西洋人達に聞き取られ、筆記されたハワイ語ですが1826年には多数決によって使用文字の統一化が図られました。子音のバリエーションは以下の通り、外国語の場合を除いてはこれらに統一されることになりました。
t      - k
r (d) - l
b    - p

ハワイ語をラテン語表記に当てはめることでそれまであった多様なハワイ語表記を統一することができました。これによってハワイ語聖書や教科書が出版され、宣教師達は各地に学校を設立し、ハワイアンの教育に力を入れました。

この活動は王族達にも支持され、1831年には1,100の学校に52,000人もの生徒がいたということです。それまで古代宗教を信じカプシステムという秩序のもとに生きて来たハワイアン達は、そのシステムの崩壊によって新たな宗教を受け入れるのは容易かったのかもしれません。ハワイアン達はとても勤勉で真面目な性格であったため、文字表記のシステムが導入されると数年で、ハワイは世界でも文盲が最も少ない国の一つとなりました。

*ハワイ語アルファベットPī, ā, pā (ピーアーパー)
ハワイ語のアルファベットのことをピーアーパーと呼びます。これはもともと「BABAと発音します」というように文字と音読を練習するシステム。この場合bpにあたるので「p(ピ)とa(ア)で p a(パ)となります」ということです。英語のアルファベットをABC(エイビーシー)と読むような感じです。

ハワイ語の母音は5つ
A         E         I          O        U
                               
日本語の母音と同じですが、順序が違います。

ハワイ語の子音は8つ
h          k          l        m         n         p         w         ʻ
he        ke        la       mu       nu       pi        we       ʻokina
                                                ヴェ     オキナ

上の母音が長母音になると
Ā          Ē          Ī           Ō         Ū
アー     エー     イー     オー     ウー
(だいたい普通の母音の2倍くらいの長さになります)

このようにハワイ語はたった13文字の組み合わせから成り立つ言語です。音節で見ていくと、ハワイ語も日本語同様に子音に母音がついて一つの音節を作るようになっています。母音は一文字で音節を作りますが、子音には必ず母音が付く、つまり子音で言葉が終わることがないと言う事です。

文字が少ないと言う事で、ハワイ語が簡単な言葉か、あるいは難しい言葉かは様々な見解があると思います。文字の多さや文法の複雑さだけが言葉の難易度を決めるものではありません。ハワイ語を知る最初の入り口としてピーアーパーは不可欠ですが、言葉を熟知するためには様々な切り口から文化を知ることも必要ではないかと思います。


参考書:Feher, Hawaii: a pictorial history
 
  • ミイラニ・ヨシコ・クーパー
    Mi'ilani Yoshiko Cooper
    担当講師

    Kahaluʻu在住
    Halau Kīhene Pua Uluwehi (ハラウ キーヘネプアウルヴェヒ オアフ島/神奈川)主宰、クムフラ
    Lamakū Hawaiian Study Education (ラマクーハワイアンスタディーエジュケーション)主宰
    アロハフロウファウンダー
    プランツメディスンメイカー
     

    ハワイ大学ヒロ校ハワイ学科卒業 ハワイアンイマージョンスクールNāwahīokalaniōpuʻu(ナーヴァヒーオカラニオープウ)で教鞭を執る
    ハワイ大学マノア校言語学修士
    2006年正統な伝統儀式のもとクムフラの称号を与えられる
    フラヘブン(雑誌)に2年半連載ページを執筆
    個人、企業向けの様々なハワイ文化講座を指導
    現在ビショップ博物館Lā Kūleʻaプログラムのフラクラスを担当
    アンティ マイキのフラを継承するクムフラ、メイ カママル クラインの元、指導者としてフラを学び2006年8月にウニキを経てクムフラの称号を与えられる
    ジョニー ラム ホー、レイ フォンセカの元よりメリーモナーク フラ フェスティバルに出場経験多数
    カジメロブラザースやハパなど有名ミュージシャンのコンサートの出演経験多数
    また、ダンサーとしての体作りの必要性からヨガを始め、ハワイの文化とヨガを融合させた Alohaflowを独自で考案
    ハワイの価値観をもとにHoʻoponopono的なライフスタイリングや自然と調和できるサステイナブルなライフスタイルを目指している

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