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所用時間5min
2016.11.21

ハワイ火山国立公園(自然)

ハワイ火山国立公園

ハワイ火山国立公園(Hawaii Volcano National Park)はハワイ島のキラウエア火山を中心にした、火山をキーワードとする公園です。総面積は標高4169メートルのマウナ・ロアを含む約1300平方キロメートル。運が良ければ火山活動を間近で見学することもできます。

ハワイ火山国立公園がオープンしたのは1916年のこと。
当初はマウイ島のハレアカラを含みました。というより、ハレアカラの国立公園化のついでに編入されたと言った方が良いでしょう。

当時のハレアカラはハワイ固有の植物のひとつであるアーヒナヒナ(ギンケンソウ)が絶滅の一歩手前にありました。この植物を含む周辺の自然を守る運動が効を成しキラウエアとマウナ・ロアを含むハワイ島とともにハワイ火山国立公園が誕生したのです。後にハレアカラはハレアカラ国立公園として1961年に独立し、分離後のハワイ火山国立公園は1982年にユネスコの世界遺産に登録されました。

この公園でもっとも人気の高いキラウエア・カルデラ。カルデラのなかに誕生したハレマウマウ・クレーターはこれまでに何度も噴火し、ときに溶岩湖があふれ出して周囲に広がりました。現在も火山活動を続けています。マグマは地下数キロメートルにあるマグマ溜まり(ホットスポット)から上昇しますが、地中には何本もの通路があります。


モクアーヴェオヴェオ・カルデラ(マウナ・ロア山頂)


キラウエア火山の噴火活動により、2016年には島東端のパホアの町まで溶岩が襲いました。1980年代には同じことがカラパナの町で起こり、溶岩が町全体を呑みこんでしまいました。住人の多くはこの自然災害をやりきれない思いで捉えましたが、先住民やハワイの伝統宗教を信じる人々のなかには、噴火活動は火の女神ペレが起こしたもので、島の住民はこれに抗うべきではないという考える人もいます。このようにハワイ火山国立公園は生きた火山活動を目の当たりにできる貴重な場所と言えます。


キラウエア・カルデラ内で噴煙を上げるハレマウマウ・クレーター(2018年以前の画像)


キラウエア火山は、キラウエア・カルデラを中心に、そこから南の海岸へと下る道の両脇に出現するかつてのクレーター群で構成されています。東南端のカポホ・クレーターからキラウエア・カルデラに至るクレーター群を繋ぐと、そのラインは北西へと伸びていることがわかります。その先にはマウイ島やラナイ島、モロカイ島などが、さらに先にはオアフ島が、そしてカウアイ島、ニイハウ島と連なります。ニイハウ島の先にも北西ハワイ諸島と呼ばれる小さな島々が、2400kmにもわたって連なります。

キラウエア・カルデラから南側の海岸に至る地域も重要です。ハワイ島は火山の噴火と、それに伴う陸地の形成を観察する上でとても分かりやすい見本を用意してくれているからです。キラウエア・カルデラの先にはチェーン・オブ・クレーターズと呼ばれるクレーターが、名前の通りチェーンのように連なっています。名前の付いているものは2ダース以上もあります。このクレーターを巡り、海へ下る道は、チェーン・オブ・クレーターズ・ロードと呼ばれます。途中、道路を覆いかけた溶岩流や先住のハワイ人が残した岩刻画(ペトログリフ)、波が岩を穿って誕生したシーアーチなども見られます。プウ・オー・オーという噴火口からの流れが活発なときは、海に落ちる溶岩が巨大な噴煙を上げるのを海岸から見ることもできます。


キラウエアの山頂近くにある火山観測所


キラウエア周辺から東南に広がる溶岩平原は数十万年前から溶岩が流れつづけ、今日に至ります。かつてはマウナ・ケアが、そして最初期にはコハラ半島の山々が噴火を繰り返していました。今日の溶岩はその大半が火山国立公園内に噴き出しています。近年では、キラウエア・イキが1959年に、ナーパウ・クレーターが1963年と65年に、マカオプヒ・クレーターは1969年の噴火で誕生しました。いずれも遠い過去の話ではありません。現在南麓に見られる溶岩流の大半はマウナ・ウル噴火口から流れ出したもので、その後はプウ・オー・オー噴火口から、主に南に向かって流れ出しました。ちなみにキラウエア火山の山頂(標高1247メートル)についてはとくに表示がありませんが、ジャガー・ミュージアムと火山観測所の建物の裏手にあります。

公園の基本情報や最新情報は公園ゲートのすぐ先にあるビジターセンター(午前7時45分~午後5時)で手に入ります。センター内にはミニシアターがあり、公園の基本情報を映像で流しています。(午前9時~午後4時)レンジャーによるガイドツアーに参加すると、通常は立ち入り禁止の場所や、情報を開示していない場所などの案内もあるので、火山に関心のある人にはお勧めです。


ボルケーノハウスのラウンジから見たキラウエア・カルデラ


ビジターセンターの向かい側(間に小さな林があります)にはボルケーノ・ハウスがあります。火災や移築などにより何度も建て変えられています。ちなみに近くにあるアートセーターは一代前のボルケーノハウスを流用しています。

ハレマウマウとは「マウマウのすみか」という意味ですが、マウマウ(アマウマウ)とはアマウというシダの若い状態を指します。なぜここがアマウのすみか(ハレ・オ・アマウマウ)かと言うと、このクレーターには、火の女神ペレとともに、彼女の夫であるカマプアアという神が住むと信じられたからです。カマプアアは独身時代、アマウの森に住んでいました。ハワイ島においては、伝統文化と信仰が自然現象に密接に結びついていたのです。火山国立公園はその点から学ぶのも興味深いでしょう。

 

※トップの画像は、ハワイ火山国立公園のゲート近くにあるビジターセンターです。

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  • 近藤 純夫
    Sumio Kondo
    担当講師

    エッセイスト、翻訳家。写真家。 ハワイ火山国立公園アドバイザリースタッフ。フラ・ミュージアム(スパ・リゾート・ハワイアンズ)アドバイザー。アロハ・カワラ版(パシフィック・リゾート)アドバイザー。国内外で各種のカルチャー講座を主催。ハワイ関連の著書に『フラの花100 』(平凡社)、『歩きたくなるHawaii』(亜紀書房)、『アロハ検定オフィシャル・ブック』(共著・ダイヤモンド社)、『フラの本』(講談社)、『ハワイアンガーデン』、『ハワイ・ブック』、『ハワイ・トレッキング』、『ハワイ諸島の自然』(以上、平凡社)、『おもしろハワイ学』(JTB)、『裏ハワイ読本』(共著、宝島社)など。訳書に『イザベラ・バードのハワイ紀行』(平凡社)、『ナショナル・ジオグラフィック 荒ぶる地球』(岩波書店)など。フェイスブックで毎日ハワイの小咄と写真を発信している。 「Facebook」https://www.facebook.com/kondo.sumio

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