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2015.03.02

レレイオホク

カラカウア王の末弟「レレイオホク」

  • カメハメハ大王の孫以降の年代の王族は、西欧人による英語での教育を受けて育ち、レレイオホクもその一人でした。
     
  • ハワイにはHānai (ハナイ)と称される、養子の習慣がありました。生まれてすぐ養育者の下に預ける習慣でした。例えば、8代目の王女になるリリウオカラニは、ビショップの妻になるバニース パウアヒの実家であるパキ家に預けられ、一方、パウアヒはキナウ王妃の養女として育っています。王家の家系は血統だけでなくハナイの関係も考慮すると、複雑です。

 

正式には、Prince William Pitt Leleiōhoku II(ウイリアム ピット レレイオホク二世王子)と呼びます。1854年1月、カラカウアと、リリウオカラニの末の弟として、ホノルルで生まれました。この年はカメハメハ三世が亡くなった年で、その死により、生まれた時はKalāhoʻolewa と云う(The day of the funeral を意味する)名を授かりました。因みに、日本では横浜で、ペリー提督により日米和親条約(神奈川条約)が結ばれた年にあたります。

 

レレイオホクは、生まれてすぐ、カメハメハ大王の家系にあたるPrincess Ruth Keʻelikōlani(ルース ケエリコラニ王女)に預けられ、その養子として育てられます。王子の名「ウイリアム ピット レレイオホク」は、ルース王女より、その亡き夫の名を授かったもので、王子の名には「二世」が付けられています。

22歳頃と思われるレレイオホク王子(ビショップ博物館の展示物より)

レレイオホクは、イオラニ スクールの前身、英国国教系のSaint Alban’s Collage (聖オルバン校)で学びました。現在のイオラニ校も英国国教会を母体とする米国聖公会系の学校ですが、1862年にカメハメハ四世とエマ王妃が英国国教会の主教をハワイ王国に招いてから二年後、1864年に聖オルバン校がパンチボールの丘の北側の谷、パウアオに開校しています。

Henry Bond Restarick が描いた聖オルバン校(写真提供:イオラニ校)

1874年2月、第6代目の王ルナリロが若くして亡くなり、後継者を指名していなかったため、憲法の定めるところにより選挙が行われ、カラカウアとエマ王妃が立候補をしました。結果、カラカウアが勝ち、第7番目のハワイ王国々王になりました。そして妹のリリウオカラニ等を王女に、20歳の弟、レレイオホクに王子の称号を与え、王としての自分の後継者として指名しました。
しかし、貴族院の議員にもなった王子は、1877年に23歳の若さでこの世を去り、カラカウア王は当時33歳だったリリウオカラニを、後継者に指名し直すことになります。王国の経済は砂糖産業で繁栄し、特に1876年に米合衆国とハワイ王国の間で締結された互恵条約により、砂糖の輸出が一層盛んになってきた時期の出来事でした。日本では明治10年、西南の役の時期にあたります。

 

主題からは外れますが、現代のハワイの有名私立校の中で歴史的にも重要な学校が3校あります。一つは上に紹介したイオラニ校。前述のとおり米国聖公会系の学校で、その歴史は1864年、カメハメハ五世の時代まで遡れ、1871年までにはオルバン校を母体に、イオラニ校が創られたようです。

 

二つ目はプナホウ校。オバマ前大統領の出身校としても有名ですが、1829年にカアフマヌ王妃が、当時のハワイ島の知事ボキとその妻リリハに、宣教師の子弟の学校を創るために土地の譲渡を求め、その後、ビンガム牧師が授かった土地に1841年にプナホウ校として開かれています。

 

そして、カメハメハ校。チャールズ リード ビショプが、妻バニース パウアヒの遺言を元に、1887年にハワイアンの子弟のために創った学校です。

ビショップ博物館に今も残されている、カメハメハ校の建物「ビショップホール」

  • 浅沼 正和
    Masakazu Asanuma
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、現在に至る。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。

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