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2015.05.06

現代ハワイに貢献した人物

二十世紀のハワイのリーダー達

  • 米国五十州の中でも、固有の文化と多民族の文化が融合して発展してきたユニークな州、ハワイ。この発展を推し進めてきた二十世紀のリーダー達に着目しましょう。


ハワイは1900年6月に米合衆国の準州になり、二十世紀を迎えました。王国時代から国の経済を支えてきた砂糖産業は更に拡大し、米本土からの資本流入も拡大していきます。
そして太平洋戦争が日米両国の間を裂き、ハワイはそのはざまに陥りました。軍に志願した日系二世の多くは欧州戦線に送られ、通訳兵は日本との戦争に従軍しましたが、無事ハワイに生還した二世兵士は、GIビルと呼ばれる復員兵に支給された資金を基に大学などの高等教育を受け、政治家、医者、弁護士、教育者や事業主になり、戦後のハワイを支えるリーダーとなりました。
ハワイの政治は、それまでの共和党主体から民主党へと徐々に体制が変化し、ダニエル・イノウエ、スパーク・マツナガ、パッツィー・タケモト・ミンク等の著名な日系政治家が現れます。

ダニエル イノウエ(ビショップ博物館の展示物より)

スパーク マツナガ(ビショップ博物館の展示物より)

パッツィー ミンク(ビショップ博物館の展示物より)

そして、1959年(昭和34年)8月21日に、アラスカに続くアメリカ合衆国第50番目のハワイ州が誕生。初代知事は、準州最後の知事、共和党のクイン (William Quinn) がそのまま選出されました。
1962年12月に第二代知事に選出された民主党のバーンズ (John Burns) の下で後半の副知事を務めた、福岡県出身の父を持つ日系二世のジョージ アリヨシ (George Ryoichi Ariyoshi) が1974年12月に三代目の州知事になります。全米でアジア系初の州知事誕生でした。その後、ハワイアン系、フィリピン系を含む四代の知事が州の政治を司り、2014年12月には沖縄移民のルーツを持つ民主党のデビッド イゲ (David Ige) が第八代の州知事に選出され、現在に至ります。

ジョージ アリヨシ (ビショップ博物館の展示物より)

ハワイの文化面では、米国化する社会の中にあって固有の文化と言語が徐々に失われていきましたが、1970年代には「ハワイアン ルネッサンス」と称されるネイティブ ハワイアンの文化復興の動きが活発になり、その歴史と文化を残そうとする人々が、ハワイ大学や各所で活動を進めました。多くのクムフラの活動も、その一翼を担っています。
ポリネシア考古学の分野では、人類学者であるエモリー博士 (Dr. Kenneth Emory) がハワイ文化の基になるポリネシアの古代史を発掘により解き明かして証明し、その功績は篠遠喜彦博士へと引き継がれ、より深く研究が進んでいきました。

70歳のエモリー博士 (写真提供 : ビショップ博物館 篠遠喜彦博士)

その他にも、経済界のリーダーや主要銀行の頭取達、ツーリズムを発展させてきた業界人、次世代を育ててきた教育界の先生方や学問の世界、水泳とサーフィンのデューク カハナモクや野球の ウォーリー ヨナミネ監督のようなハワイを代表するスポーツ選手等々、紹介するには枚挙にいとまがありません。

ウォーリー ヨナミネ(ロバート フィッツ氏の著書より)

今後も、民族のルーツへのこだわりなく、政治、経済、社会、文化を担うハワイの新しいリーダーが各方面で生まれてくることでしょう。

  • 浅沼 正和
    Masakazu Asanuma
    担当講師

    【インタビュー動画あり】
    ハワイ在住通算27年目を迎える。2001年からビショップ博物館で日本語ドーセントのボランティアを始め、2003年に同博物館の会員組織を代表する Bishop Museum Association Council のメンバーに選出され、21年間務めた。他に、ハワイ日米協会理事やハワイ日本文化センターのBoard of Governor 等を務め、日布間の文化交流活動に従事している。海外の訪問国と地域の数は95箇所に及ぶ。

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